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大津町議会議員 金田ひできの『新風!』

熊本県大津町の議会議員、金田ひできのブログ 『新風(しんぷう)!』

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大津町の財務・財政⑤ ~新しい予算編成の在り方~

 これまでも色々と書いてきましたが、予算の主目的は「限りある財源を如何に効率的に配分するか」です。

 これまでは、自治体の歳入減と歳出増の観点から、選択と集中の必要性を述べてきましたが、現代社会におけるもう一つの難しさとして、「成長社会から成熟社会への時代変化」、そしてそれによる「住民ニーズの多様化」が挙げられます。

 具体的にいうと、成長社会においては、

 道路や特に図書館や公民館、体育館等の比較的一般的なハコモノ、あるいは教育や福祉においても、分かりやすい部分にニーズが集中しており、更に好調な財政状況を背景にそれらを実現してきたため、住民満足度も高く、良くも悪くも行政にお任せの時代だったと言えます。


 対して、成熟社会においては、

 ある程度の社会的基盤が整い、その+αとして多様な住民ニーズが生まれているものの、財政状況は厳しく実現できるサービスも限られ、住民満足度の低下に伴って、改善を求める声も高まっています。

 つまり、求められる「サービスの量」だけではなく、「サービスの種類」が増加しているため、一つを実現してもそれによる受益者は相対的に少なくなっており、その予算配分も難しくなっています。

 
 そんな中、自治体財政は「収支均衡」が原則となるため、「選択と集中」により限られた予算を効率的に使っていく必要がありますが、財政が厳しくなる中で財政部門が一律に「前年度○%減」の予算編成を事業部門に要求するケースも少なくはありません。

 また、財政部門主導にしても事業部門主導にしても、そうした削減を図る場合、適切な行政評価によって事業がコントロールされていれば良いのですが、多くの自治体では制度やスキルが成熟していないため、費用対効果や重要度ではなく単に「切りやすい部分から切る」ということも起こりがちです。

 「予算の使い方」を見ても、大きな予算配分は財政部門が握っているため、事業部門は「与えられた予算を使い切ること」があたり前になり、危機感やコスト意識が育ちにくいという事が指摘されています。
 更に、業務の整理を進める場合もコスト削減の結果評価されるのは、結局は財政部門となるため、現場のインセンティブが働かず、モチベーションが上がらないという悪循環になっています。

 そんな中で一部の自治体では例えば次のような制度により、職員のコスト意識を向上させ、”使い切り予算”を是正するように努めています。

 ■包括予算制度
一般財源を各部等に配分し、各部長等のマネジメントの下において自主的な予算編成を行う手法

 ■メリットシステム
事業を行う際の工夫や新たな財源の確保によって予算の節減が認められた場合に、その取組内容に対する評価に応じた配分額を、節減の工夫を行った事業部の翌々年度の予算に上乗せさせる手法



 こうした困難な状況を乗り切るために財政規律を高める事を家計に例えてみると、

 台所を預かる世帯主(事業部)だけが質素倹約に励もうとも、配偶者や子ども等のお小遣生活者(事業部)には伝わりません。よって、財政課だけではなく全ての職員が財政意識を持って業務に臨む必要があります。

 また、世帯主(財政課)としても現場(事業部)の状況をしっかり把握しておかなければ、そもそもの配分自体が見当違いのものになりかねません。

 財政制度の抜本的な見直しは、自治体としてかなりの負担を伴うものです。

 しかし、一つひとつの事業の品質を上げていく事はもちろん、こうした全体的な制度・在り方を議論・改善する事の重要性・必要性は年々高まっており、今後もそうした視点から意見・提案をしていくつもりです。

| 財務・財政 | 21:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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大津町の財務・財政④ ~自治体歳出の全体像~

 前回までは、主にお金の入口(歳入)の面にスポットを当ててきましたが、今回は出口(歳)の面から大津町の現状をざっくり確認しようと思います。
 
 歳出予算を分類する際、大きく2つの分け方があります。

 1つが行政目的に着目した「目的別分類」、もう1つが経費の経済的な性質に着目した「性質別分類」で、それぞれを簡単に説明すると以下の通りです。

■目的別分類
「どんな目的にお金を使ったのか?」をまとめたものです。
(例:教育費、民生費、衛生費、土木費、商工費、農林水産業費 等)

■性質別
「どんな経費にお金を使ったのか?」をまとめたものです。
(例:義務的経費(人件費、扶助費、公債費)、消費的経費(物件費、維持管理費、補助費等、その他経費(積立金、繰出金等)、投資的経費(建設事業費、失業対策事業費等)


 なお、以下のリンク先は東京都東村山市の資料ですが、自治体によっては次のようにクロス集計した表を公開しており、事業単位とまではいきませんが、何の目的にどんな経費が掛かっているかをざっくり掴むことができます。

 →リンク

 また、以前の記事でも記載した通り、

 財源を使途別に分けると、基本的には自治体の自由に使える地方税や地方交付税、地方譲与税などの「一般財源」、それ以外の国庫支出金をはじめとした一定の使途にのみ使える「特定財源」の2種類になります。


 さて、以下は総務省の公開している目的別歳出決算額ですが、大津町と比較して各性質の予算構成比は大きくは変わりませんが、例えば「商工費」に着目するとパーセンテージでは2.8ポイントほどですが、4分の1以下の配分率であることが分かります。

 もちろん、各自治体で産業の構成が異なるので単純な比較はできませんが、まずは全体を俯瞰し、こういった数値を拾い上げる事が分析や政策検討の一つの切り口になります。


■目的別歳出決算額の構成比(総務省:地方財政白書) 24年度
目的別歳出決算額の構成比



■大津町 目的別歳出決算額の構成比 25年度
大津町 目的別歳出決算額
(大津町:決算カードを基に作成)



 次に性質別歳出決算額ですが、大津町と比較すると各性質の予算構成比はマクロで見る限り、ほぼ同じ割合であることが分かります。


■性質別歳出決算額の構成比(総務省:地方財政白書) 24年度
性質別歳出決算額の構成比



■大津町 性質別歳出決算額の構成比 25年度
大津町 歳出決算額
(大津町:決算カードを基に作成)


 さて、多くの自治体で同様の問題を抱えていますが、性質別分類を時系列で見ていくとここ数年で「扶助費」、つまり社会保障制度の一環として、児童・高齢者・障害者・生活困窮者などに対して国や地方公共団体が行う支援に要する経費の金額、および予算全体における構成費が大幅に増加してきています。

 例えば、平成22年における大幅な伸びは主に子ども手当の創設の影響が大きく、国の政策によるところもありますが、そうした部分を差し引いても、高齢者や生活困窮世帯の増加等により、トレンドとして増加傾向にあります。

大津町 扶助費推移
(大津町:決算カードを基に作成)


 なお、少しややこしいのですが、扶助費増加に伴い新たに発生する経費の中には国庫支出金から措置されるものや、増加に伴い地方交付税に上乗せ算定されるもの等もあるため、増加金額分がそのまま町の財政にダイレクトに影響を与えているわけではありません。しかし、それでも影響は決して小さいとは言えず、また「大津町の財務・財政③(→リンク)」で書いた通り、地方分権が進む中で今後地方交付税の減額や税源移譲等が進めば、今まで以上にこうした特に構成比の大きな部分をどのように抑えていくかで、町の財政事情が大きく変わってくるのではないかと思います。

 もちろん、上述の通り「義務的経費」と言われる通り、抜本的な改善は難しいのですが、24億円の5%でも削れれば、1.2億円になります。

 いずれにしろ、「本格的に高齢社会を迎え、財政的にも更に厳しくなる」と言われていますが、定量的にどのような状況にあるかを見るために少し掘り下げてみました。

 人口動態や経済状況を考えると短期スパンで歳入の大幅な増加を望むのは難しい状況です。

 一方で、現状の行政サービスを維持するだけでも支出の方はどんどん増加している状況です。

 よって、

①行財政改革によりこれまでの業務をより低コスト・高効率・高品質で実施する

②「あれもこれも」ではなく「あれかこれは」のスクラップ&ビルド(新たなサービスを始めるために費用対効果の悪いサービスの見直しを行う)や選択と集中の発想を持つ

③住民もまちづくりに参画する事で行政が担えない部分を補う、あるいはそうした住民の活動を行政が適切に支援することで相乗効果を発揮する(地域福祉や地域防災等での協働)


 そういった事が必要になってきます。

 そのためには、情報公開も積極的に行いながら、その認識を行政・議会はもちろん住民も含めた3者で共有し、そこをスタートラインに協働でまちづくりを考えていく必要があるというのが私の基本的な考えです。

| 財務・財政 | 14:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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大津町の財務・財政③ ~国庫支出金と地方交付税~

 本日は、「国庫支出金」および「地方交付税」に関する課題や、三位一体の構造改革に始まる国から地方への財源移譲の流れ、そして現在の動向について書いてみたいと思います。

 なお、これらを事細かに解説することは学者の範疇になってしまうので、大津町の現状を挙げながらあくまでも一般的かつ、初歩的な理解を助けるためのざっくりとした内容になります。

 どちらにも指摘されている問題点ですが、「国庫支出金」の場合には俗に言う「ひも付き」で国のコントロールが働きやすい傾向にあり、具体的には「地方分権」と言いつつも一方の地方自治体が「○○の補助があるので○○をやろう」といった事も行われがちでムダの発生や優先順位の逆転が指摘されています。

 また、交付先も省庁が差配する「箇所付け」が問題化し、陳情する自治体との間に上下関係が生まれ、更に族議員(特定の省庁についての政策知識や人脈により、政策の決定権や業界団体や利益団体の利益保護に影響力を持ったりする国会議員)の関与も許したとの指摘もあります。 

 大津町においても「有利な補助金があれば」「国の100%補助事業なので」という答弁が議場や委員会でも聞かれます。確かに財源ありきと言うのは間違いではなく、むしろ町の財政運営面から言えば当然と言えば当然なのですが、100%補助事業でもそれを管理運用するための実質的な人件費が発生します。また、計画性の観点からは全国的に見ても補助期間の終了とともに機械的に事業が廃止になるケースも少なくはありません。

 個人的には国や県の補助も積極的に活用しながら限られた町の財源のなかでより良い事業を行っていく事には賛成です。ただ、現状の自治体の会計システム(公会計)の抱える問題でもあるのですが、上述のような状況にならないように人件費等の機会費用の損失等も勘案したコスト・効果分析や中長期的な計画の策定をしたうえで事業選定することが重要だと考えています。


 一方で、地方交付税は「税収が少なくても国からの交付金がある」と、自治体が努力しなくなるという事が指摘されています。
 確かに以前にも書いた通り大津町は平成17年度から4年間地方交付税の不交付団体でしたが、不交付団体ではあったものの大幅な余裕のある財政状態と言うわけでもなかったため、国の補助制度の中での取り扱いが異なる場合があるなど「逆に財政運営が大変だった」という職員の声も聞いています。

 ただし、地方交付税は「基準財政需要額(行政を標準的な水準で運営するのに必要な額)-基準財政収入額(自治体の標準的な収入)」で計算されますが、基準財政収入額は75%が収入として計算され、残りはこの算定式から除外されます。つまり、増加した税収分の少なくとも25%は自治体が自由に使える財源になります(留保財源)。
 よって、程度問題にはなりますが「増えた分だけ交付税が減らされるので意味がない」という事にはなりませんし、そうやって自治体の意欲をなるべく削がない制度設計になっています(なお、比較で言えば大津町の財政力は依然として県内でも高い水準にあります)。
 

 ちなみに少し古い話になりますが、これらの国庫支出金や地方交付税の抱える課題を解消する事が小泉政権時代に進められた「三位一体の構造改革」の目的でした。

 掻い摘んで言うと、上述の課題解消に向けて、①国庫支出金を減らす、②税源を地方に移譲する、③地方交付税を見直す(つまり、国からの再分配ではなく自治体の責任において財政運営を行う)、という事を同時に進めようという取組みでした。

 結果としては、多少は国から地方への税源移譲が進んだものの、各省庁の反対や交付団体と不交付団体との自治体間の対立などもあり、不十分な結果に終わったとの指摘も少なくはありません。
 また、歳出全体をできるだけ削りたいという国の財政再建の意図が強く働き、移譲された税源の額を大きく上回る国庫支出金が減らされ、地方交付税も圧縮されたため、財政力の弱い自治体は更に厳しい状況になりました。

 しかし、今後国が地方分権を推進するにあたって、この税源移譲や地方への分配方式の問題は避けられない検討課題であり、もちろん大津町もその如何によって大きな影響を受けることが想定されます。


 さて、このひも付きの補助金である「国庫支出金」については、民主党政権下に大きな動きがありました。

 それが、「一括交付金」制度であり、ざっくり言うと、国から地方への「ひも付き補助金」を廃止し、基本的に「地方が自由に使える交付金にするという構想」です。導入初年度の配分先は都道府県のみ、2年目は政令市にも拡大、新年度は市町村にも行き渡る予定でしたが、政権交代とほぼ同時に廃止されました。

 なお、内容としてはまだ導入段階であったため制約もあったものの、地方からの評価は上々だったようです。

 昨今の動きとしては、民主党は維新の党とともに、ひも付き補助金を廃止し、政権時に導入した一括交付金をバージョンアップした形で復活させることを目指しているようです。

 また、先日訪熊し、講演を行った自民党の石破茂地方創生担当相も「地方創生」の実現に向け、「地方にとって便利のいい一括交付金の概念はあってしかるべきものだ」と述べ、地方にとって自由度の高い新たな交付金の創設を2015年度予算の概算請求の中に盛り込んでいます。

 ポイントを整理しながら所見を述べると、「地方交付税交付金」は「頑張っても頑張らなくても変わらない」という状態を生み出すという課題があると述べました。

 しかし、過疎や高齢化が著しい地域では、例え税源移譲をしたとしても内部で十分な税収を見込む事は現実的に難しく、そうした地域に対してはやはり一定の再分配は必要でしょう。よって、中々難しい問題ですが、税源の移譲を進める場合にはそうした地域間での大きな格差を勘案した制度設計が求められるのではないかと思います。

 また、国庫支出金の改革については、「地方への監督権限を手放そうとしない中央省庁の抵抗があった」と言われていますが、一方で地方自治体としても苦労して独自事業を起案するより、霞が関の敷いたレールに乗って淡々と補助事業を展開する方が楽であり、責任も問われにくいという側面があります。

 個人的には、霞ヶ関は単に中央が権力を握っていたいという次元の話ではなく、「果たして財源移譲をした際に各自治体において”適切な行財政運営”ができるのか」という事に不安を抱いているのではないかと思っています。

 例えば、行政力・議会力が低い自治体で独自事業を乱発すれば、結果として事業失敗によってそこに住み暮らす住民が不利益を被る恐れもあります。

 また、地方からも「基礎自治体の権限強化」、あるいは議会での議決事項の拡大等の「議会の権限強化」を叫ぶ声は決して少なくはないのですが、そういった「地域力」が育たないままに権限だけを膨らませれば、逆に混乱を招く自治体も多く出てくるのではないかと個人的には危惧しているところです。
 
 いずれにしても、地方分権の動きが進んでいるのは事実であり、それは政権の動きや国の財政状況を見ても変わりそうにありません。

 それに備えるためには、行政職員も、議員も、そして地域住民も、そうした状況を捉えて更に多くを学び、危機感を持ちながら臨む必要があると考えます。

 最後になりますが、先ほど述べた通り、地方のための予算については本年4月上旬に成立予定の2015年度予算案には地方創生のための様々な助成制度が盛り込まれる予定です。

 これは地方の多くの自治体にとっては大きな転機であり、逃してはならないチャンスです。

 「予算があるから・・・」という意味ではなく、今後の大津町の発展のために町とともに私もしっかりとアンテナを張り、有用なものは逃さず取り入れられるようにしたいと思っています。



【国庫支出金に関する補足】
国庫支出金は、主に以下の3つに分けられます。
① 国庫負担金
国が自治体に負担するもので,義務教育費や生活保護費などがありますが全国的に一定の水準を維持し、併せて地方公共団体の財政負担を軽減するために、国と地方公共団体との間の経費負担区分に基づき、国が一定割合を義務的に負担するもので全額ではありません。
②国庫補助金
自治体が学校・図書館・道路などをつくる際に,国が一定の額を補助金として出すものです。この補助金はその目的にしか使えません。特定の施策の奨励または財政援助のための給付金で、国が特定の事務事業の実施を奨励し、また助長するために交付するものと、地方公共団体の財政を援助するために交付するものとがある。
③国庫委託金
本来的に国が直接実施すべき事務事業を執行の便宜上により地方自治体に委託するなど、専ら国の利害に関係がある事務事業の必要経費を、その委託のつど交付するもので国が自治体などに事務を委託するときの経費で,国会議員の選挙や先般行われた国勢調査に関わる費用などです。地方の選挙はその自治体の予算で行います。
(参考:http://www.ifinance.ne.jp/glossary/japan/jap072.html


【地方交付税に関する補足】
地方交付税は、本来地方の税収入とすべきであるが、団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば「国が地方に代わって徴収する地方税」(固有財源)という性格をもっています。
なお、地方交付税の総額は、所得税・酒税の32%、法人税の34%(平成19年度から)、消費税の29.5%(平成9年度から)、たばこ税の25%とされています(地方交付税法第6条)。
(参考:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/kouhu.html

| 財務・財政 | 23:52 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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大津町の財務・財政② ~自治体歳入の全体像~

 以前の記事で日本は他の先進国と比較して「自治体の果たす役割が大きい」、また「他の先進国と比較して地方税の割合が高い(約40%)」と書きました。

 しかし、それでも日本の場合、「3割自治」と揶揄されるように、自治体収入のうちで税収が占める割合は平均して30%程度です。


 その点については、一つには自治体や国の歳入全体をみればよく分かります。

 まずは自治体の歳入の構成比を見てみると、自治体運営をするために地方税収だけは足りないため、国や県から支出・譲与される「地方交付税」、「地方譲与税」、「国庫支出金」、「都道府県支出金」等、あるいは「地方債」発行による借金等で賄っています。

■歳入決算額の構成比(H24年度)
歳入決算額の構成比
(総務省:地方財政白書より) 


 上図を見ていただくと、「一般財源」とその他の財源がありますが、一般財源は用途の制約がなく「いかなる経費についても使用できる収入」です。
 一方で特定財源である「国庫支出金」等は国から用途を厳しく制限されています。所謂「ひも付き」というものです。

 つまり、もちろんお金に色がついているわけではありませんが、一般的には「一般財源」の割合が高いほど自由度の高い自治体財政運営が出来ると言えます。

 なお、大津町の歳入の状況は以下の通りとなっており、全国の平均と概ね同じです。


■大津町 歳入決算額の構成比(H25年度)

大津町 歳入決算額の構成比(

(大津町:決算カードを基に作成)


 年度によって数%の増減はつきものであるため一概に言えませんが、“財政豊か”と言われる割には「一般財源の比率」が全国平均より若干低い、地方債発行(借金)の割合が高い、といった意外な状況も見えてきます。

 これはそもそも比較するデータが全国大小様々な規模の自治体の平均と比較していることや地方交付税が少ないこと(逆転現象)も理由としてありますが、一つには歳入がある一方で歳出も大きいとも言えます。
 もう少し言うと、他の自治体よりも財政的に手厚い住民サービスがなされている部分もあれば、もしかすると非効率な部分があるのかもしれません。あるいは国庫支出金などの対象事業を比較的上手く活用出来ているのかもしれません。いずれにしろ、このデータだけを見ても分からないことが多いのですが、こうしたところから少なくとも確認すべき差異が見えてきます。


 次に、国の歳入の状況を見るとそもそも税収だけでは4割程度しか財政を賄うことが出来ておらず、半分近くは公債の発行(借金)に頼っている状況です。


■平成23年度一般会計歳入
平成23年度一般会計歳入
(財務省:税制について考えてみよう)
 
 
 ざっくり補足を加えながら整理すると、日本の地方自治体は得られる税収の割合が、国税:地方税=6:4と他の先進国と比較して自治体が直接得る地方税の割合が高いものの歳出も多いため、その他の収入(例えば、公共施設使用料や公営事業、財産処分等)と合わせても、平均して4割程度であり、大津町も同じような状況です。

 しかし、それでも税収だけでは必要な予算を賄うことができないため、国も自治体も債権(借金)を発行してやりくりしています。

 また、自治体の視点でみると、国税の一部の再分配や借金を含めた国の予算を財源とした「国庫支出金」や「地方交付税」を貰っています。

 前者の国庫支出金は国が自治体に使い道を指定して与えるものです。自治体側としては、国に「うちでこんな事業をやるので予算をください」という形で資金をもらいます。

 後者の地方交付税は地方公共団体(自治体)間の格差をなくすために与えられるものです。例えば、過疎や高齢化、産業の空洞化などで税収が少ないため沢山もらっているところもあれば、東京都のように財源豊かで一切もらっていない自治体(不交付団体)もあります。こちらは国庫支出金とは違い、使い道が指定されていません。
 なお、大津町も平成17年度から4年間、主に豊かな法人税に支えられて全国でも数少ない不交付団体の時期がありました。

 財源を使途別に分けると、基本的には自治体の自由に使える「一般財源」は、大津町を含め、自治体平均でも5割弱であり、それ以外は国庫支出金をはじめとした一定の使途にのみ使える「特定財源」となります。また、経費には人件費や扶助費等の必ず必要になる経費(義務的経費)が多くあるため、大きな予算があっても自由度を持って使える割合は実際はそれほど多くありません。

 なお、自主財源と依存財源の区別もあり、前者が自治体自ら調達するもの(地方税・分担金・負担金、使用料、手数料、財産収入、寄付金など)であるのに対し、後者は主に国から与えられるもの(国庫支出金、地方譲与税、地方特例交付金、地方交付税、地方債)です。

 大津町のような、所謂"企業城下町"は一般財源、かつ自主財源である「法人町民税」が景気に影響されやすいため、そのリスクも踏まえた財政運営が必要です。また、企業のみに頼らない財源確保を念頭に入れたまちづくりをする事も重要です。

| 財務・財政 | 23:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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大津町の財務・財政① ~概論~

 地方財政はもちろん、地方自治体(市町村)における"政治"は世間の関心が非常に薄いように思います。

 例えば、国政についてはメディアによっても多く報じられ、日々の話題に上る事も比較的多いと言えます。国会の様子や首相答弁も日常的にテレビで見る事ができます。消費税による歳入増がどのくらいありそれがどのように使われる、あるいは集団的自衛権や特定秘密保護法などの注目度の高い話題については特番などで分かりやすく解説がされる事も少なくありません。

 しかし、市町村においては、例えば日々の生活道路の状況やハコモノ、あるいは生活に密着した個別の課題等の「行政運営」という観点からは話題になるかもしれませんが、自らが住み暮らす自治体の教育、福祉、物件費などがどのような割合、金額で配分されているのか、あるいは条例の制定・改正が議会においてどのような議論の下で決定・執行されているかということに興味関心を持っている人は少数です。

 そうした関心の低さは投票率にも表れており、基礎自治体である市町村の議会議員や首長選挙の投票率を見ると近年では国政選挙の投票率より概ね10ポイントほど低い傾向にあります。


■衆議院議員総選挙投票率の推移
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(公益財団法人明るい選挙推進委員会HPより)


■統一地方選挙の投票率推移
17tihousuii.jpg
(公益財団法人明るい選挙推進委員会)

 小規模な自治体においては地方選挙の投票率が比較的高い傾向も見られますが、そうした場合においても政策自体が争点になりやすい国政選挙と比較して、特に地方議会議員選挙において、更には町の方向性や将来に大きく影響する首長選挙においてさえ、地縁血縁や”お願い”による投票傾向が色濃く、全体としては「政策」や「中身」が問われることは少ないと言っても過言ではないでしょう。

 その原因は、国政選挙と比較して判断材料となる情報が少ないことや、そもそも日々報道される国政とは異なり「何をやっているか分からない」、あるいは事実はどうあれ住民が「自分たちの生活にはあまり関係ないと思っている」等の理由があると考えられます。

 しかし、日本は他の先進国と比較して自治体が大きな役割を担っており、かつ「財政配分における自治体の割合が高い」状況にあります。税収の段階で見ても全体の約60%が国税、約40%が地方税であり、更に行政サービスの段階で最終的に使われるお金を見ると国税が約40%、地方税が約60%まで上昇します(国庫支出金、地方交付税という形で国から市町村へ移譲されるため)。

 つまり、それだけ多くのことが市町村レベルの各自治体で決定・運営されています。そして、その傾向は国策として進められて地方分権の流れのなかで更なる拡大傾向にあります。


■地方財政制度の国際比較
財務省
(財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー平成23年第4号)


 地域に関わらず、自分の住んでいる自治体の行政に縁がない人はまず居ません。

 我々が日常的に使う水は、町が経営する水道の水です(大津町の場合は菊陽町と共同で大津菊陽水道企業団を設置)。子ども達の多くは町立の幼保育園や小中学校に通っています。毎日通勤通学で使う道には町道が多くあります。町立図書館で本を借り、町営のスポーツの森で運動をします。また、町の様々な会合やイベントが町の公民館で開催されています。更にはゴミ、し尿処理(組合・広域連合)も町の仕事です。

 その他、検診等の母子保健事業、一時保育や延長保育、障がい児の保育等の児童福祉から高齢者福祉に至るまで、住民の生活を支えているのが自治体であり、その取組みやサービス内容は自治体によって異なります。最近では大津町は中学3年生まで医療費が無料になりましたが、就学前までしか対象にならない自治体から北海道の南富良野町にように就学中であれば22歳まで無料になる自治体まで様々であり、それは自治体の財政状況や方針・予算配分おける考え方によって異なっています。

 つまり、自治体の施策・政策は各自治体で異なっており、その財政や予算配分、更には仕事の中身や品質が我々の生活の豊かさに大きく関わっていると言えます。

 しかし、それにも関わらず地方選挙における投票行動にそういった背景が反映されていないのは非常に忌々しき事態であり、一政治家としても情報発信のあり方など、色々と反省すべきことでもあると感じています。


 さて、ここから財政の話に移りますが、家計を見ればその家庭にいくら収入や支出、あるいは借金があり、更に何にどれだけお金を使っているかも一目瞭然です。

 自分のために使うのか、我が子や親のために使うのか、あるいは教育のために使うのか、家を建てるために使うのか。 同じ使うにしても、全体の給料や貯蓄から見てその配分は適切か、費用対効果はどうか、将来的に立ちいくかなど、様々な点を勘案して計画を立てる必要があります。

 子どもが増えれば支出も増えます。おじいちゃんやおばあちゃんが年を取れば介護や医療のための費用も増加します。

 収入が限られている以上、場合によっては見直しも必要でしょう。

 同様に自治体財政を見れば、その町の収支や借金等の状況はもちろん、力を入れている分野、あるいはそうでない分野もそれなりに見えてきます。

 家計同様、自治体で住民サービスを向上させるための新たな取組みを始めるためにはお金が掛かります。
 また家計と同様に日本全体でみても高齢者の数は増加しており、「義務的経費」と言われ、社会保障などに掛かる「扶助費」も増加の一途にあります。

 よって、当然ながら市町村財政においても、「あれもこれも」ではなく、持続可能な適切な配分の検討や適宜の見直しも必要になってきます。

 上述した通り、他の先進国と比較して日本は自治体予算の割合が高く、担う責務は多大です。

 しかし、非常に重要な事であるにも関わらず、自治体の会計や財務・財政は特殊かつ複雑であり、しっかりと理解できている議員は実はそれほど多くありません。それどころか「中堅以上の職員が財政課に異動になったものの最初は理解をするので精一杯」という話も聞きます。
 
 かく言う私も「財務・財政に強い議員」と胸を張って言うには程遠いのですが、これから私の知識の整理も兼ねて「財務・財政」あるいいは「公会計(自治体の会制度)」に関する記事も適宜書いていこうと思いますので、皆さまもぜひ一緒に学んでいただければ幸いです。

 自治体の個別の事業や取組みもそうですが、自らの住み暮らす自治体の財政全体を知ることは町全体の状況を知ることに繋がり、ひいては住民主体のより良いまちづくりにも繋がることだと思います。

| 財務・財政 | 23:55 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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