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大津町議会議員 金田ひできの『新風!』

熊本県大津町の議会議員、金田ひできのブログ 『新風(しんぷう)!』

2015年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2015年03月

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大津町の政務活動費

■「政務活動費」とは

 地方議会の議員が政策調査研究等の活動をするために支給される費用です。 「政務調査費」と混同する方もいますが、2012年の地方自治法改正により「政務活動費」と改称されています。
 
 つまり、若干定義は変わったものの、以前「政務調査費」と呼ばれていたものが今は「政務活動費」と呼ばれているという理解で大丈夫です。

 交付額や交付方法については、自治体により異なりますが、共通している正当な支出は議員活動の範囲に関係する「書籍等の購入」、「議員研修への参加」、「視察」、「事務所費用」などです。 その他、広報や秘書の雇用等についても、支出可となっている自治体が多いのですが、中には議員活動の活動報告誌等は半分まで計上可能等の制約を設けている場合もあります。


■大津町の状況と政務活動費の意義

  騒動以降、よく政務活動費の金額を聞かれますが大津町では一切支給はありません。
 
  県内の状況では、最も多い熊本県議会(月30万円)やそれに次ぐ熊本市議会(20万円)といった比較的支給の多い自治体から大津町のように支給がない自治体まで様々です。 なお、最近の近隣自治体の動きでは、菊陽町では4月の改選後からは政務活動費が月2万円(現状ゼロ)の支給になり、合志市では同じく4月改選後からは報酬の方を6万円ほど引き上げるとのことです。

 この政務活動費の支給や報酬の引き上げは、調査研究のための財源を与えることや、例えば働き世代でも政治に専念できる報酬額を支給することで、より多くの人が政治に参加できる環境を整え、「議員の質」を上げる事が一つの狙いです。

 報酬や政務活動費の引き上げそのものの可否は一旦置いておくとして、個人的には「議員の質」を上げるためには、報酬の引き上げよりも政務活動費の支給の方が望ましいと思っています。


■報酬が上がれば議員の質は上がるのか?

 県や都議会、府議会等の一流企業に准ずる位の報酬が出ている自治体は別かもしれませんが、私の知る限り報酬と議員の働きぶりや能力、そしてその成果は相関がないように思います。 基本的に町であろうが市であろうが村であろうが議員の活動内容や職責は変わりませんが、「報酬の高い自治体に優秀な議員やよく働くが議員が多くいて有効な活動を行っているか」と言えば、そんな事は全くありません(現行の議員報酬は単なる人口割や予算規模、あるいは近隣自治体の相場から算出しているケースが殆どで深い裏付けはありません)。

 特に、政治は「選挙」を伴うため報酬が上がった事で、例え有能な方が多く挑戦したとしても、同じく報酬が目当ての立候補が増えれば、結果がどうなるかは分かりません。

 つまり、一般的に能力や成果によって、「仕事のできる人」から順に職位や立場を与えられる民間企業と違って現状ではまだまだその相関が弱いので、この報酬増によるインセンティブが上手く働きません。


■政務活動費が付けば(上がれば)議員の質は上がるのか?

 あくまで活動費を「有効に使って活動」すれば、という前提ですが、少しずつでも確実に議員の質は上がると思います。

 特に議員対象の研修会等は、研修自体から学ぶ事も多いのですが、更に全国から集った多くの地方議員と情報交換をし、ネットワークを構築できる貴重な場であり、やはり刺激も受けます。

 しかし、政務活動費がない場合は調査活動含め、しっかり活動すればするほどお金が掛かってしまうため、現実的には特に遠方への先進地調査や研修、あるいは活動報告誌の発行、比較的高額な専門書籍の購入等、色々と制約が出てきます。

 よって、ある程度おもいっきり議員活動に専念できる環境を整える事で、議員の活動自体も変わってくるのではないかと思います。 それに伴う課題は後述しますが、少なくとも研修や視察、情報発信の量だけで言えば、一般的には政務活動費がある自治体の方が相対的に大きい事は間違いありません。

 いずれにしても、そうした理由から(二者択一であるならば)誰も彼もと報酬を引き上げるよりは、政務活動費による「実際の活動」に対する補助の方が「現行の選挙制度と当選状況」をみると理に適っていると考えています。


■政務活動の「質」

 
 ただ、一点指摘したいのが、行政に対して「公金の使い方」について質疑・意見する議員が、一方で自らの政務活動費に関してはあまり削減努力なく使っているようにみられるケースが意外に多い事です。これは支出における「費用対効果」の意識においても同様です。残余金があれば自治体に返還されます。

 少しでも安価な方法で交通手段を確保したり、広報誌を作成したり、あるいは公金で参加したのならば少しでも多くのことを政策立案に繋げるなどの努力が不可欠であり、厳しい財政状況のなか、行政に工夫や改善を求めるのであれば、議員自身が率先してそのような姿勢で取り組まなければならないと思います。

 いずれにしても、政務活動費の有無や報酬の大小は別にして、行政・議会それぞれでの 「ダブルスタンダード」にならないように、そして「単なるポーズ」ではなく、「どれだけの付加価値を生んでいるか」という事を常に意識しながら、金額にかかわらず「報酬に足る」と住民の方々に認められる活動を行う事が責務であると考えています。

| 言論・政策 | 23:15 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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大津町の財務・財政⑤ ~新しい予算編成の在り方~

 これまでも色々と書いてきましたが、予算の主目的は「限りある財源を如何に効率的に配分するか」です。

 これまでは、自治体の歳入減と歳出増の観点から、選択と集中の必要性を述べてきましたが、現代社会におけるもう一つの難しさとして、「成長社会から成熟社会への時代変化」、そしてそれによる「住民ニーズの多様化」が挙げられます。

 具体的にいうと、成長社会においては、

 道路や特に図書館や公民館、体育館等の比較的一般的なハコモノ、あるいは教育や福祉においても、分かりやすい部分にニーズが集中しており、更に好調な財政状況を背景にそれらを実現してきたため、住民満足度も高く、良くも悪くも行政にお任せの時代だったと言えます。


 対して、成熟社会においては、

 ある程度の社会的基盤が整い、その+αとして多様な住民ニーズが生まれているものの、財政状況は厳しく実現できるサービスも限られ、住民満足度の低下に伴って、改善を求める声も高まっています。

 つまり、求められる「サービスの量」だけではなく、「サービスの種類」が増加しているため、一つを実現してもそれによる受益者は相対的に少なくなっており、その予算配分も難しくなっています。

 
 そんな中、自治体財政は「収支均衡」が原則となるため、「選択と集中」により限られた予算を効率的に使っていく必要がありますが、財政が厳しくなる中で財政部門が一律に「前年度○%減」の予算編成を事業部門に要求するケースも少なくはありません。

 また、財政部門主導にしても事業部門主導にしても、そうした削減を図る場合、適切な行政評価によって事業がコントロールされていれば良いのですが、多くの自治体では制度やスキルが成熟していないため、費用対効果や重要度ではなく単に「切りやすい部分から切る」ということも起こりがちです。

 「予算の使い方」を見ても、大きな予算配分は財政部門が握っているため、事業部門は「与えられた予算を使い切ること」があたり前になり、危機感やコスト意識が育ちにくいという事が指摘されています。
 更に、業務の整理を進める場合もコスト削減の結果評価されるのは、結局は財政部門となるため、現場のインセンティブが働かず、モチベーションが上がらないという悪循環になっています。

 そんな中で一部の自治体では例えば次のような制度により、職員のコスト意識を向上させ、”使い切り予算”を是正するように努めています。

 ■包括予算制度
一般財源を各部等に配分し、各部長等のマネジメントの下において自主的な予算編成を行う手法

 ■メリットシステム
事業を行う際の工夫や新たな財源の確保によって予算の節減が認められた場合に、その取組内容に対する評価に応じた配分額を、節減の工夫を行った事業部の翌々年度の予算に上乗せさせる手法



 こうした困難な状況を乗り切るために財政規律を高める事を家計に例えてみると、

 台所を預かる世帯主(事業部)だけが質素倹約に励もうとも、配偶者や子ども等のお小遣生活者(事業部)には伝わりません。よって、財政課だけではなく全ての職員が財政意識を持って業務に臨む必要があります。

 また、世帯主(財政課)としても現場(事業部)の状況をしっかり把握しておかなければ、そもそもの配分自体が見当違いのものになりかねません。

 財政制度の抜本的な見直しは、自治体としてかなりの負担を伴うものです。

 しかし、一つひとつの事業の品質を上げていく事はもちろん、こうした全体的な制度・在り方を議論・改善する事の重要性・必要性は年々高まっており、今後もそうした視点から意見・提案をしていくつもりです。

| 財務・財政 | 21:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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大津町の財務・財政④ ~自治体歳出の全体像~

 前回までは、主にお金の入口(歳入)の面にスポットを当ててきましたが、今回は出口(歳)の面から大津町の現状をざっくり確認しようと思います。
 
 歳出予算を分類する際、大きく2つの分け方があります。

 1つが行政目的に着目した「目的別分類」、もう1つが経費の経済的な性質に着目した「性質別分類」で、それぞれを簡単に説明すると以下の通りです。

■目的別分類
「どんな目的にお金を使ったのか?」をまとめたものです。
(例:教育費、民生費、衛生費、土木費、商工費、農林水産業費 等)

■性質別
「どんな経費にお金を使ったのか?」をまとめたものです。
(例:義務的経費(人件費、扶助費、公債費)、消費的経費(物件費、維持管理費、補助費等、その他経費(積立金、繰出金等)、投資的経費(建設事業費、失業対策事業費等)


 なお、以下のリンク先は東京都東村山市の資料ですが、自治体によっては次のようにクロス集計した表を公開しており、事業単位とまではいきませんが、何の目的にどんな経費が掛かっているかをざっくり掴むことができます。

 →リンク

 また、以前の記事でも記載した通り、

 財源を使途別に分けると、基本的には自治体の自由に使える地方税や地方交付税、地方譲与税などの「一般財源」、それ以外の国庫支出金をはじめとした一定の使途にのみ使える「特定財源」の2種類になります。


 さて、以下は総務省の公開している目的別歳出決算額ですが、大津町と比較して各性質の予算構成比は大きくは変わりませんが、例えば「商工費」に着目するとパーセンテージでは2.8ポイントほどですが、4分の1以下の配分率であることが分かります。

 もちろん、各自治体で産業の構成が異なるので単純な比較はできませんが、まずは全体を俯瞰し、こういった数値を拾い上げる事が分析や政策検討の一つの切り口になります。


■目的別歳出決算額の構成比(総務省:地方財政白書) 24年度
目的別歳出決算額の構成比



■大津町 目的別歳出決算額の構成比 25年度
大津町 目的別歳出決算額
(大津町:決算カードを基に作成)



 次に性質別歳出決算額ですが、大津町と比較すると各性質の予算構成比はマクロで見る限り、ほぼ同じ割合であることが分かります。


■性質別歳出決算額の構成比(総務省:地方財政白書) 24年度
性質別歳出決算額の構成比



■大津町 性質別歳出決算額の構成比 25年度
大津町 歳出決算額
(大津町:決算カードを基に作成)


 さて、多くの自治体で同様の問題を抱えていますが、性質別分類を時系列で見ていくとここ数年で「扶助費」、つまり社会保障制度の一環として、児童・高齢者・障害者・生活困窮者などに対して国や地方公共団体が行う支援に要する経費の金額、および予算全体における構成費が大幅に増加してきています。

 例えば、平成22年における大幅な伸びは主に子ども手当の創設の影響が大きく、国の政策によるところもありますが、そうした部分を差し引いても、高齢者や生活困窮世帯の増加等により、トレンドとして増加傾向にあります。

大津町 扶助費推移
(大津町:決算カードを基に作成)


 なお、少しややこしいのですが、扶助費増加に伴い新たに発生する経費の中には国庫支出金から措置されるものや、増加に伴い地方交付税に上乗せ算定されるもの等もあるため、増加金額分がそのまま町の財政にダイレクトに影響を与えているわけではありません。しかし、それでも影響は決して小さいとは言えず、また「大津町の財務・財政③(→リンク)」で書いた通り、地方分権が進む中で今後地方交付税の減額や税源移譲等が進めば、今まで以上にこうした特に構成比の大きな部分をどのように抑えていくかで、町の財政事情が大きく変わってくるのではないかと思います。

 もちろん、上述の通り「義務的経費」と言われる通り、抜本的な改善は難しいのですが、24億円の5%でも削れれば、1.2億円になります。

 いずれにしろ、「本格的に高齢社会を迎え、財政的にも更に厳しくなる」と言われていますが、定量的にどのような状況にあるかを見るために少し掘り下げてみました。

 人口動態や経済状況を考えると短期スパンで歳入の大幅な増加を望むのは難しい状況です。

 一方で、現状の行政サービスを維持するだけでも支出の方はどんどん増加している状況です。

 よって、

①行財政改革によりこれまでの業務をより低コスト・高効率・高品質で実施する

②「あれもこれも」ではなく「あれかこれは」のスクラップ&ビルド(新たなサービスを始めるために費用対効果の悪いサービスの見直しを行う)や選択と集中の発想を持つ

③住民もまちづくりに参画する事で行政が担えない部分を補う、あるいはそうした住民の活動を行政が適切に支援することで相乗効果を発揮する(地域福祉や地域防災等での協働)


 そういった事が必要になってきます。

 そのためには、情報公開も積極的に行いながら、その認識を行政・議会はもちろん住民も含めた3者で共有し、そこをスタートラインに協働でまちづくりを考えていく必要があるというのが私の基本的な考えです。

| 財務・財政 | 14:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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何故どうでも良い議論ばかり紛糾するのか (凡俗の法則)

 標題の 「凡俗の法則」ですが、 これは「組織は些細な物事に対して、不釣り合いなほど重点を置く」という法則でシリル・ノースコート・パーキンソンと言う方が1957年に発表したものです。

 さて、どういう事かと言うと、パーキンソンはこの法則を「原子力発電所」と「自転車置き場」の建設に例えて説明しています。

 少し補足を加えつつ掻い摘んで説明すると、原子力発電所は巨額の費用がかかるものの内容が複雑過ぎるため専門家任せで殆どの人は口を挟まず、一部の権限者の中で決まっていく(現代にそのまま置き換えると状況は変わりますが、あくまで当時の氏の例えです)。

 一方で自転車置き場は、少コストだが身近で分かりやすいため、屋根の素材を何にするか、色はどうするか等の議論が白熱し、本質的ではない部分で無駄に時間を消費するばかりか、「そもそも自転車置き場が必要か」といった大事な議論に至らない。

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 つまり、「物事の重要性にかかわらず身近なことほど議論が紛糾しやすく、時間も浪費する傾向にある」更に「その結果、本質的な議論がなされない」という事になります。

 殆どの方は類似の経験があると思いますが、議会・委員会(行政課題)においても、こうした事態が発生する事は珍しくありません。

 国会においても「もっと議論・指摘すべき事があるのでは」とワイドショーでコメンテーターが指摘している場面が思い浮かびます。

 予算規模や本質ではなく、「その議員が精通している内容」、「分かりやすい内容」、「世間受けする内容」に関する質疑に多くの時間が割かれ、重要な部分に議論が至らない。

 例えば、地方議会においても、財務・会計等は課題が複雑なため、身近な精通分野での持論の展開に終始する、あるいは町全体の議論であるにかかわらず自分の知る一部のコミュニティの話に終始する、という話も少なくありません。

 発生原因としては、「課題の本質を捉えていない」、「コスト意識(バランス感覚)が欠落している」、「基礎的な知識がない」、あるいは心理学的には「(ここぞとばかりに)自分の存在を誇示したい」など色々あると思います。

 通常の会議などでは、優秀なファシリテーター(進行者)を配置する事で議論を上手くコントロールする事もできるのですが、議場においては「議員の権利」もあるので、中々そうもいきません。

 もちろん、「予算規模や利害関係者が少ないから議論が不要」というわけではありません。

 ただ、こちらは経済学用語ですが、もう一つ「機会費用」という考え方があります。

 「ある行動を選択することで失われる、他の選択肢を選んでいたら得られたであろう利益のこと」で、簡単にいうと、「時間もお金も有限であるため何かを選ぶという事は、(金銭的な費用は発生しなくとも)何か諦めざるを得ない」という考えです。

 自治体の予算はもちろん、議会で議論できる時間は有限であり、それは職員の負担増という意味を含めて議場の外においても同様です。

 よって、「機会費用(優先度)を踏まえ」、「コスト意識を持ち」ながら、「本質(大事な事)を外さない」、そのために「常日頃からしっかりと知識を蓄える」、民間企業でも全く同じで常に心に留めておくべき事だと思いますが、「生活にかかわる全てが議題」である地方議員においては、殊更その視点や姿勢が重要です。

 こうしたフレームワーク(考え方の枠組み)や理論は知っていれば色々と応用が利き、非常に役立ちます。

 既にご存じだった方、あるいは感覚的に理解している方も多いとは思いますが、改めて言葉として定義すると腑に落ちて理解も深まります。

 この「凡俗の法則」及び「機会費用」の概念は私も常々意識しています。

| 言論・政策 | 03:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「くまもとむらづくり人材育成塾」最終講座と研修の在り方

 今週木曜日は八代市で開催された熊本県庁主催の「くまもとむらづくり人材育成塾」の最終講座に参加してきました。

 その内容を踏まえ、今回は①「研修内容のシェア」、および②「研修の在り方」について書きたいと思います。

 講座内容は以下の通りですが、色々と学びも、考える事も多い内容でした。


■ 「むらづくりのための編集とデザイン」
  LOCAL&DESIGN株式会社 高山 美佳氏
■「四万十川方式 地域発着型産業づくり」
  株式会社四万十ドラマ 畦地 履正氏
■「パネルディスカッション」
  高山 美佳氏、畦地 履正氏、井手 修身氏


 その中で、特に印象深かったキーワードをいくつかご紹介させていただくと一つには、「強い1次産業ありきの6次産業化」というものです。

 Wikipediaによると、6次産業化とは「農業や水産業などの第1次産業が食品加工・流通販売にも業務展開している経営形態を表す、農業経済学者の今村奈良臣が提唱した造語。また、このような経営の多角化を6次産業化と呼ぶ。」となっています。

 簡単にいうと、農家などの生産者が作ったものを自ら製品に加工し、販売まで行うという事になります。

 話の趣旨としては、そうした6次産業化において、農産物等の生の資源の価値を高めないままに安易な加工販売に走ったり、地場の農家が儲からなかったりするような仕組み(地域で連携して6次産業化を行うような場合)では、長続きしないというものです。

 今回事例紹介をしていただいた「四万十川方式」でも、地域で協力しながら生の農産物の品質向上やブランディングをすることによって、それを原材料にした様々な加工品が売れる仕組みを構築されていました。そしてその加工も、安易に海外に委託するのではなく「地域にシゴトを創る」ということも大事にしながら、「オール四万十」で取り組んでいるとのことでした。

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 また2つ目のキーワードですが、編集とデザインの講義において、講演者の方は「ストーリー」と「ヒストリー」を非常に大事にしているように感じました。

 佐賀県武雄市の元市長の樋渡氏は以前参加した講演会の中で「モノは売れなくても物語は売れる」と仰っていましたが、商品の品質はもちろん、そこに秘めた歴史や物語は商品価値を高めるための一助となります。

 卑近な例でいうと、「江戸時代から続く老舗」あるいは「元祖」等の看板があれば、やはり何もないより惹かれてしまう方が多いのではないでしょうか。

 もちろん、歴史も物語も急に作れるものではありませんが、「伝え方次第」で十分魅力でストーリーを秘めているモノも少なくはありません。

 例えば、「大津町のからいもは美味しい」と県内でも有名ですが、町のホームページを見ると「阿蘇の火山灰からなる土は中に多くの酸素を含むので根菜類の栽培に適しています。大津町がからいもを栽培するようになったのは、土地の利点を生かして栽培されるようになったと考えられています。」と書かれています。

 ある程度科学的な裏付けも必要になるかもしれませんが、美味しさの理由は「世界農業遺産にも認定された世界最大級のカルデラを持つ広大な阿蘇の火山の恩恵(この辺りの表現は一定のセンスも必要だと思いますが)」という歴史と物語を組み込むことで、県外等の大津のからいもを食べた事のない層にも売り込みやすく、多少なりとも購買意欲を高める事が出来るのではないかと思います。 もちろん、そこからは品質がモノを言います。

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 さて、ここから少し話が変わりますが、研修を受けるたびに色々と町内での応用を考えるのですが、自治体の制度をはじめ政策的なものであればある程度自分だけでも煮詰められるものの、こうした地域の生産者をはじめとした住民が大きくかかわる部分に関しては中々そうもいきません。

 例えば今回の場合、知り合いの農家の方との意見交換もできますが、こうしたまちづくりに関わる全町的な内容はもう少し広いコミュニティや関係者間で煮詰める必要があると思っています。

 つまり、研修を単なるインプットの場として終わらせるのではなく、そのインプットを速やかに町の現状に合わせて分析・検討するというステップを噛ませることが重要であり、それが具体的な改善に繋がっていきます。

 もちろん、今回のような県内各地から異業種の方々が集まっている場合は中々具体的な話は出来ないのですが、少なくとも同じ業界団体、あるいは町内で町主催の研修や講演会等を行う場合であれば、その後の議論によって得られる効果は大きいのではないかと思います。

 例えば先ほどはからいもについて書きましたが、「そのストーリーは成立しない」という事が分かり速やかに次の検討に移る事ができたり、あるいはそのストーリーの効果を更に高める事ができるような意見やアイディアが出てくるかもしれません。

 しかし、殆どの研修や意見交換会等は時間の都合もあるのでしょうが、「研修のみ」「意見交換会(懇談会)のみ」と分けられています。

 ただ、研修だけでは大部分がインプットで終わるため時間の経過とともに記憶は薄れ具体化せず、一方で材料のない単なる意見交換だけでは出てくるアイディアも限られます。

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 「時間増」、「負担増」、「それらに伴う集客の難易度増」等、課題はあるでしょうが、町としても「今ほど先進事例についての講演を聞いていただきました。では大津町の場合にはどのような資源ややり方(応用)があるでしょうか?」というような具体的な議論が参加者全員でできるインプットとアウトプットが一体になった研修や勉強会を充実させる事で様々な取組みが具体化しやすく一層の活性化につながるのではないかと思っています。

 なお、住民の方々と取り組んだ「かたらんね!地域防災」の第1回はこの方式で行っており、また議会においても文教厚生常任委員会では今期から「先進地研修を終えての議員の意見交換会」を研修当日に実施しています。

| 言論・政策 | 01:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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より伝わる「議会だより」  ~学生の力を借りて~

 前回の内容に引き続き、こちらも熊日新聞に掲載されていましたが、最新号である2月2日発行の「大津町議会だより」は尚絅大学の学生の協力を得て、執筆・編集しています。

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 議会だよりは、議員5名からなる「議会広報編集特別委員会」で作成していて、そのうち委員長を除く4名が1期目の新人議員です。
 
 しかし、どうしても「専門的な用語」や「議会の仕組みを知らなければ理解しにくい表現」等が出てきます。

 もちろん、解説を増やしていけばより分かりやすくする事も可能なのですが、紙面に限りもあるためバランスも大事になり、そこで議会に染まっていない層の"客観的な意見"というものは非常に有用です。

 今回は若い感覚や発想を存分に生かしてもらう事はもちろん、「難しい」「取っ付きにくい」という声もある議会だよりに対して、「選挙権を持つか持たないかの20歳前後で、かつ政治専攻でもない学生の視点」が加わることによって、「より伝わる」内容になったのではないかと思います。

 また、今回ご協力いただいたのは主に文化言語学部の学生だった事もあり、色使いや文字の大きさ、あるいは項目の図表化などテクニカルな面についても忌憚のない意見を頂き、紙面全体のレベルアップを図ることもできました。
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 今回は紙面全体に関する包括的な部分だけではなく、特集記事「教えて!議員さん!」という事で、学生から議員へのインタビューを基にした特集ページも執筆いただいています。

 今回の連携の2つ目の狙いですが、こうして学生に参画してもらう事で同年代の若者をはじめとした「普段は議会だよりを見ない方々」にも、手に取ってもらうきっかけになるのではないかと思っています。

 なお、前回の記事にも書いた通り、域学連携や学生の地域活動は、「地域のメリット」と「学生(学校)のメリット」が両立する事が重要であり、その関係が成立して初めて継続的かつ効果の高いものになります。

 そういった意味からも、今回の取組みが学生の経験の蓄積や成長にも寄与できていれば幸いです。

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 さて、最後まで引っ張りましたが、学生の協力も得て完成した最新の議会だよりはこちらになるので、ぜひご一読いただければと思います。 →リンク

| 域学連携 | 21:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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域学連携と高大連携

 熊日新聞でも取り上げていただきましたが、1/30(金)に大津高校生と尚絅大学へ台湾から短期留学中の大学生との交流会が実施されました。

 当日は大津特産のからいもを使った”いきなり団子”づくりや生徒会執行部手作りの"熊本かるた"、美術コース生による似顔絵描き、茶道部によるお茶でのおもてなし、そしてそれぞれの学校や文化等についての発表がありました。

 また、材料について町内の農家さんにご相談させていただいたところ、中瀬農園さんがご厚意で当日使用する大津産の立派なお芋を寄贈してくださいました。対外的には大津のお芋のPR、対内的には地産地消の推進にも繋がればと思っています。

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 今回の話の始まりですが、大津町をフィールドにまちづくりをはじめとした様々な活動をしている尚絅大学へ台湾から3週間ほど約20名の留学生が来るとの事で、ぜひ大津町でも何かの取組みをしたいとのご相談を同大学の先生より頂きました。

 そこで、毎年修学旅行で台湾へ1年生を送っている大津高校の生徒にとっても、国際・異文化交流という面から役に立てばとの考えから同高校へご相談させていただいたのですが、交流の提案に対してそれ以上の様々な準備運営をしてくださいました。

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 さて、言うまでもなく私がかかわったのは最初の接点のみであり、交流の方式や内容については全て大津高校の方で検討されたものです。

 前回の一般質問でも「域学連携」については、色々とご提案させていただきましが、大学にも地域にも、それぞれで人、物、場所、知恵と言った素晴らしい資源が数多くあります。

 そんな中、現在多くの大学が学生の「学問の実践の場」「社会経験の場」として、活動できる地域を求めています。

 しかし、「フィールドはあるが人材を必要とする大学」と「フィールドはないが人材を有する大学」があっても、例えば地域に何の接点もない大学が飛び込みで企画を持ち込み成立させる事は現実的には難しく、そこにまだまだ”資源のミスマッチ”がある、というのが私の見方です。

 そこで、町が協力することにより、それぞれの"需給のマッチング"の部分だけでもしっかりと行えば、あとは町の各所で地域に資する様々な取組みが生まれてきます。

 「協働」あるいは「地域の資源を生かす」とはそういう事だと思います。
 
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 尚絅大学には、これまでも地蔵祭りでのおばけ屋敷への参画やおおづ日本一まつりでの運営支援、別途ブログでも書きたいと思っていますが本日発行の「議会だより」の編集にも多大なるご協力をいただきました。

 その他、大津町での特産品の協働開発・マーケティングや町内のお祭りでの出店等、色々とアイディアがあるようです。

 一般質問を受けての町からの回答としては、「まちおこし大学での取組みを優先したいので、しばらくは大学との域学連携協定締結は考えてはいない」との答弁でしたが、私としては他の市町村ではなく、ぜひ大学の持つ資源を大津町で生かしていただけるように出来る限りのバックアップをしていきたいと考えています。

| 域学連携 | 21:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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