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大津町議会議員 金田ひできの『新風!』

熊本県大津町の議会議員、金田ひできのブログ 『新風(しんぷう)!』

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何故、役所では業務改善・改革が進みにくいのか

 よく「役所と民間企業は違うから同じような改善・改革は出来ない」と言われます。しかし、関われば関わるほど役割論ではなく”業務”に限定すれば「あるべき姿」は本質的には何ら変わらないように感じます。

 例えば、効率化の話をすると、「行政は民間企業とは異なり利益を出すことを目的にしていないため効率化とは対極にある」との言葉が返ってきます。しかし、多くの民間企業が目指すのは「生産性」だけではなく、顧客サービスも含めた広義の「品質」向上との同時追及であり、それらは必ずしもトレードオフ(両立できないもの)ではありません。

 民間企業の目的は「顧客の創造」「利益の追求」という表現する方も多いのですが、個人的には例えば消費者メーカーやサービス産業が提供する商品も、最終的な目的としては「顧客満足度」をどのように生み出すかという事が核になると思います。

 民間企業は商品やサービスを通して顧客に満足感を提供する見返りとして利益を得ており、当然ながら効率性のみを追求して品質が大幅に低下すれば中長期的には顧客はいなくなってしまいます。よって、生産性の向上はもちろんですが、それを含めたうえで一定の品質を確保し、「顧客満足度」を維持する事が至上命題になっています。

 例えば、「行政にはマイノリティ(社会的少数者)のための業務が多数ある」と言われますが、メーカーあるいは保険会社などでも市場に少数しか流通していない売り止め商品のアフターケアなど利益に直結せず、かつコスト的にも割に合わない業務も抱えています。
 また、民間企業も収益事業だけではなく、照会対応や書類処理等の直接は利益を生み出さない「コストセンター」の業務も多く抱えています。

 民間企業は利益に直結するような事しかやっていないという誤解があるように感じますが、長期的に利便性向上や信頼関係構築等を通して顧客満足度を維持向上させる事が重要であり、そこにおいて業務の本質としては民間も行政も何ら変わらないと言えるではないでしょうか。


 さて、先に「生産性」「品質」の向上はトレードオフではないと述べましたが、ポイントとしては2点です。

 ①既存業務の非効率な部分のプロセスを変えることで業務効率を向上させる
 ②ムダな作業と価値を生む作業を上手に仕分け、ムダな作業・業務を排除する


 以上を行うことで、現場のムダな作業を効率化、あるいは排除し、そこから生まれた余力で顧客満足度をより高める作業に職員がより多くの時間を割くことができれば、生産性の向上と品質(顧客満足度)の向上を同時に実現することに繋がります。つまり、生産性の向上によって生まれた「ヒト」「カネ」で新しい付加価値を生み出すことが出来ます。

 また、「業務効率化」という場合にはスピードだけではなく「精度」も問われます。何故なら手戻りや修正等のイレギュラーな作業が業務効率を下げる最も大きな要因の一つであるからです。そしてそういった業務エラーは顧客(住民)満足度の低下にも繋がり、真の生産性向上、業務効率化とはサービスの向上とも表裏一体であると言えます。

 市場の中で激しく競争している民間企業にとって、生産性を高めることは非常に重要です。
 生産性が高い企業は、より少ない資源で、より品質の高いサービスをより多く提供でき、市場の中で優位なポジションを得ることができます。その結果、企業として大きく成長できるだけでなく、雇用を維持し、税を納め、社会貢献もできます。

 しかし一方で、こうした市場原理の外で提供されている行政サービスは、社会の中の非常に大きな存在であり重要な役割を担っていますが、提供者側の視点から画一的に住民にサービスが提供され、競争市場において常に厳しい消費者や株主の厳しい目にさらされている民間企業とは大きく異なります。
 つまり、民間企業が生産性向上に取り組む原動力の基礎となっている市場競争が一般に働いておらず、行政機関がそれを独占しているとも言えます。
 そして、これまでも多数の自治体で様々な改革が行われ、この競争原理を何とかして行政部門に導入し、サービスの品質や提供の効率性を改善しようとしてきましたが、未だに大きな効果が出ているように見えないというのが現実です。

 しかし、厳しい財政事情はもちろん、地方分権の流れの中で自治体の権限・責任が増大し、行政への「経営感覚」の向上要望も高まる昨今、多くの民間企業において当たり前に取り組まれているように、行政サービスにも生産性と品質の同時追及が必要であると思います。

 その点において、もちろん全くとは言いませんが、民間企業と比較して改善・改革が進まないのはこれまで述べてきた通り、業界自体の構造や担う業務やサービス自体の問題ではなく、その多くは組織風土の問題であり、改善していく事はいくらでも出来ると考えています。

 大きなものとして、良く言われるところでは民間企業でも以前は「年功序列」だった人事制度の「実績評価」のウェイトを高め、個々のモチベーション、ひいては生産性を高める事に成功しているように思います。また、特に金融業界では戦後の「護送船団方式」により最も体力のない企業が落伍しないよう、監督官庁がその産業全体を管理・指導しながら収益・競争力を確保する経営が行われていましたが、その構図も随分昔に様変わりしています。

 当然、民間企業においてもその転換期には職員の戸惑いや困難もあったと思いますが、今まで述べてきたように自治体経営は今後さらに厳しさを増していくと考えられ、また特に民間の分野においては改善・改革を進めるためのお手本も山ほどあります。

 もちろん全ての取組みが行政で通用するとは思いませんし、変える事でのプラス面だけではなくマイナス面があればそれもテーブルに乗せて、しっかりと足し算、引き算をしながら判断していく必要はあります。ただ、今まで述べてきたように共通する部分や見習うべき部分は少なくありません。

 よって、私は住民サービスの向上のためにも改善・改革を積極的に取り入れていくべきであると考えており、これまで同様にこれからもこういった観点から様々な質疑・提言をどんどんしていきたいと思っています。

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 もちろん、現場の実務を最も知っているのはそこで業務に携わる職員だと思います。理論的には間違いなくても現場の実情に照らせば難しいというケースも当然起こり得るでしょう。しかし、そこは互いに侃侃諤諤、建設的な議論をしていくべきです。

 私の以前勤めていた企業で私も業務量の分析等でかなり関わっていた事例を見つけたのですが、(→リンク)その企業においては、支社や支部の内勤職員は本社の改善・改革案に対して非常に積極的に意見・議論します。
 特にこういった取組みを行う際は一時的に業務負荷が増加するケースも多々あり、現場からは反対意見の方が多いものですが、そこから建設的な議論が展開でき、より良い姿や現場を踏まえた最善の折衷策も生まれます。

 しかし、立場の違いも大きいのでしょうが、その点において現在は物足りなさを感じています。これまでやっていたような現場で実務を担う職員との丁寧な議論が出来ていない。それは議場や委員会での一般質問や質疑はもちろん、担当職員と話すときも同様です。

 そこには、もしかすると議決という形で最終的な議案の決定権を握る議員、議会との微妙なパワーバランスもあり、議員側の動きが明らかに理に適っていないのであれば、それはもちろん議員自身の資質として、あるいは社会システムにおいて正していく必要がある事でしょう。

 しかし、相手が聞く耳を持っている前提に立てば、あるいは例えそうでなくてもそれはそれとして、立場を気にして本音で語れないのであれば、それは自らの問題・課題であり、突き詰めれば自らが改善すべき点であると思います。

 議員が聞く耳や理解力を持っていないのか、あるいは自らの説明が不足していたり、取組みや説明自体にそもそも納得感させるだけの「拠り所」がないのか。
 
 相手が自分の意見を通そうとしているのか、あるいは説明責任を果たせていないために結果的にそう見えるような構図になっているのか。
 
 そこのステップをとばせば、民間であれ行政であれ、現場には「やらされた」「押し付けられた」「叩かれた」等の感情が残りがちです。また、真意が伝わっていなければ当然ながら取組みのレベルも落ちます。だからこそ、反論や議論、そしてそこに相手を納得させるだけの「論理」と、何より業務としての「裏付け」が求められます。逆に言えばそれさえしっかりと出来れば、議員の知識・情報不足により悪く言えば「横槍」を入れられるような場合にも適切な対処が出来るはずです。これに関しても民間企業での上司や担当役員、あるいは株主との関係でも似たような構図があるかと思います。

 もちろん、最終的には議論は平行線になる事もあるかもしれませんが、行政の場合にはそれは住民が客観的に判断できるように情報公開をしていけば良いだけです。また、もちろん別の話として議員一人ひとりの資質の向上は求められますが、何より議会は合議機関ですので理に適ってないようであれば一人の意見に流される必要はなく、そうあるべきでもありません。

 情報公開については、私の場合は現場での細かいやり取りまで掲載すると流石に息苦しいので議会でのやり取りが殆どですが、ブログや報告誌で公開しています。もちろん、私自身がそうであるように情報を出すという事はそれに対して反対のご意見を頂くこともありますが、上述のようにその意見の一つひとつが「より良いあり方」へのヒントになります。

 住民と議員との構図同様に出来ない事があるのは当然ですが、出来ないのであれば「何故出来ないのか」という説明責任をしっかりと果たす。それが「どうすれば出来るのか」あるいは「これは本当に出来ないので他の取組みはどうか」という建設的な議論、そして真の改善・改革への最初のステップになるのではないかと私は思います。

| 言論・政策 | 18:37 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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