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大津町議会議員 金田ひできの『新風!』

熊本県大津町の議会議員、金田ひできのブログ 『新風(しんぷう)!』

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大津町の財務・財政③ ~国庫支出金と地方交付税~

 本日は、「国庫支出金」および「地方交付税」に関する課題や、三位一体の構造改革に始まる国から地方への財源移譲の流れ、そして現在の動向について書いてみたいと思います。

 なお、これらを事細かに解説することは学者の範疇になってしまうので、大津町の現状を挙げながらあくまでも一般的かつ、初歩的な理解を助けるためのざっくりとした内容になります。

 どちらにも指摘されている問題点ですが、「国庫支出金」の場合には俗に言う「ひも付き」で国のコントロールが働きやすい傾向にあり、具体的には「地方分権」と言いつつも一方の地方自治体が「○○の補助があるので○○をやろう」といった事も行われがちでムダの発生や優先順位の逆転が指摘されています。

 また、交付先も省庁が差配する「箇所付け」が問題化し、陳情する自治体との間に上下関係が生まれ、更に族議員(特定の省庁についての政策知識や人脈により、政策の決定権や業界団体や利益団体の利益保護に影響力を持ったりする国会議員)の関与も許したとの指摘もあります。 

 大津町においても「有利な補助金があれば」「国の100%補助事業なので」という答弁が議場や委員会でも聞かれます。確かに財源ありきと言うのは間違いではなく、むしろ町の財政運営面から言えば当然と言えば当然なのですが、100%補助事業でもそれを管理運用するための実質的な人件費が発生します。また、計画性の観点からは全国的に見ても補助期間の終了とともに機械的に事業が廃止になるケースも少なくはありません。

 個人的には国や県の補助も積極的に活用しながら限られた町の財源のなかでより良い事業を行っていく事には賛成です。ただ、現状の自治体の会計システム(公会計)の抱える問題でもあるのですが、上述のような状況にならないように人件費等の機会費用の損失等も勘案したコスト・効果分析や中長期的な計画の策定をしたうえで事業選定することが重要だと考えています。


 一方で、地方交付税は「税収が少なくても国からの交付金がある」と、自治体が努力しなくなるという事が指摘されています。
 確かに以前にも書いた通り大津町は平成17年度から4年間地方交付税の不交付団体でしたが、不交付団体ではあったものの大幅な余裕のある財政状態と言うわけでもなかったため、国の補助制度の中での取り扱いが異なる場合があるなど「逆に財政運営が大変だった」という職員の声も聞いています。

 ただし、地方交付税は「基準財政需要額(行政を標準的な水準で運営するのに必要な額)-基準財政収入額(自治体の標準的な収入)」で計算されますが、基準財政収入額は75%が収入として計算され、残りはこの算定式から除外されます。つまり、増加した税収分の少なくとも25%は自治体が自由に使える財源になります(留保財源)。
 よって、程度問題にはなりますが「増えた分だけ交付税が減らされるので意味がない」という事にはなりませんし、そうやって自治体の意欲をなるべく削がない制度設計になっています(なお、比較で言えば大津町の財政力は依然として県内でも高い水準にあります)。
 

 ちなみに少し古い話になりますが、これらの国庫支出金や地方交付税の抱える課題を解消する事が小泉政権時代に進められた「三位一体の構造改革」の目的でした。

 掻い摘んで言うと、上述の課題解消に向けて、①国庫支出金を減らす、②税源を地方に移譲する、③地方交付税を見直す(つまり、国からの再分配ではなく自治体の責任において財政運営を行う)、という事を同時に進めようという取組みでした。

 結果としては、多少は国から地方への税源移譲が進んだものの、各省庁の反対や交付団体と不交付団体との自治体間の対立などもあり、不十分な結果に終わったとの指摘も少なくはありません。
 また、歳出全体をできるだけ削りたいという国の財政再建の意図が強く働き、移譲された税源の額を大きく上回る国庫支出金が減らされ、地方交付税も圧縮されたため、財政力の弱い自治体は更に厳しい状況になりました。

 しかし、今後国が地方分権を推進するにあたって、この税源移譲や地方への分配方式の問題は避けられない検討課題であり、もちろん大津町もその如何によって大きな影響を受けることが想定されます。


 さて、このひも付きの補助金である「国庫支出金」については、民主党政権下に大きな動きがありました。

 それが、「一括交付金」制度であり、ざっくり言うと、国から地方への「ひも付き補助金」を廃止し、基本的に「地方が自由に使える交付金にするという構想」です。導入初年度の配分先は都道府県のみ、2年目は政令市にも拡大、新年度は市町村にも行き渡る予定でしたが、政権交代とほぼ同時に廃止されました。

 なお、内容としてはまだ導入段階であったため制約もあったものの、地方からの評価は上々だったようです。

 昨今の動きとしては、民主党は維新の党とともに、ひも付き補助金を廃止し、政権時に導入した一括交付金をバージョンアップした形で復活させることを目指しているようです。

 また、先日訪熊し、講演を行った自民党の石破茂地方創生担当相も「地方創生」の実現に向け、「地方にとって便利のいい一括交付金の概念はあってしかるべきものだ」と述べ、地方にとって自由度の高い新たな交付金の創設を2015年度予算の概算請求の中に盛り込んでいます。

 ポイントを整理しながら所見を述べると、「地方交付税交付金」は「頑張っても頑張らなくても変わらない」という状態を生み出すという課題があると述べました。

 しかし、過疎や高齢化が著しい地域では、例え税源移譲をしたとしても内部で十分な税収を見込む事は現実的に難しく、そうした地域に対してはやはり一定の再分配は必要でしょう。よって、中々難しい問題ですが、税源の移譲を進める場合にはそうした地域間での大きな格差を勘案した制度設計が求められるのではないかと思います。

 また、国庫支出金の改革については、「地方への監督権限を手放そうとしない中央省庁の抵抗があった」と言われていますが、一方で地方自治体としても苦労して独自事業を起案するより、霞が関の敷いたレールに乗って淡々と補助事業を展開する方が楽であり、責任も問われにくいという側面があります。

 個人的には、霞ヶ関は単に中央が権力を握っていたいという次元の話ではなく、「果たして財源移譲をした際に各自治体において”適切な行財政運営”ができるのか」という事に不安を抱いているのではないかと思っています。

 例えば、行政力・議会力が低い自治体で独自事業を乱発すれば、結果として事業失敗によってそこに住み暮らす住民が不利益を被る恐れもあります。

 また、地方からも「基礎自治体の権限強化」、あるいは議会での議決事項の拡大等の「議会の権限強化」を叫ぶ声は決して少なくはないのですが、そういった「地域力」が育たないままに権限だけを膨らませれば、逆に混乱を招く自治体も多く出てくるのではないかと個人的には危惧しているところです。
 
 いずれにしても、地方分権の動きが進んでいるのは事実であり、それは政権の動きや国の財政状況を見ても変わりそうにありません。

 それに備えるためには、行政職員も、議員も、そして地域住民も、そうした状況を捉えて更に多くを学び、危機感を持ちながら臨む必要があると考えます。

 最後になりますが、先ほど述べた通り、地方のための予算については本年4月上旬に成立予定の2015年度予算案には地方創生のための様々な助成制度が盛り込まれる予定です。

 これは地方の多くの自治体にとっては大きな転機であり、逃してはならないチャンスです。

 「予算があるから・・・」という意味ではなく、今後の大津町の発展のために町とともに私もしっかりとアンテナを張り、有用なものは逃さず取り入れられるようにしたいと思っています。



【国庫支出金に関する補足】
国庫支出金は、主に以下の3つに分けられます。
① 国庫負担金
国が自治体に負担するもので,義務教育費や生活保護費などがありますが全国的に一定の水準を維持し、併せて地方公共団体の財政負担を軽減するために、国と地方公共団体との間の経費負担区分に基づき、国が一定割合を義務的に負担するもので全額ではありません。
②国庫補助金
自治体が学校・図書館・道路などをつくる際に,国が一定の額を補助金として出すものです。この補助金はその目的にしか使えません。特定の施策の奨励または財政援助のための給付金で、国が特定の事務事業の実施を奨励し、また助長するために交付するものと、地方公共団体の財政を援助するために交付するものとがある。
③国庫委託金
本来的に国が直接実施すべき事務事業を執行の便宜上により地方自治体に委託するなど、専ら国の利害に関係がある事務事業の必要経費を、その委託のつど交付するもので国が自治体などに事務を委託するときの経費で,国会議員の選挙や先般行われた国勢調査に関わる費用などです。地方の選挙はその自治体の予算で行います。
(参考:http://www.ifinance.ne.jp/glossary/japan/jap072.html


【地方交付税に関する補足】
地方交付税は、本来地方の税収入とすべきであるが、団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分する、いわば「国が地方に代わって徴収する地方税」(固有財源)という性格をもっています。
なお、地方交付税の総額は、所得税・酒税の32%、法人税の34%(平成19年度から)、消費税の29.5%(平成9年度から)、たばこ税の25%とされています(地方交付税法第6条)。
(参考:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/kouhu.html

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