FC2ブログ

大津町議会議員 金田ひできの『新風!』

熊本県大津町の議会議員、金田ひできのブログ 『新風(しんぷう)!』

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

「空き家対策特別措置法」の施行と町の動向

■「空き家対策特別措置法」とは
  空き家は増加の一途をたどっており、昨年7月に公表された総務省の統計ではおよそ820万戸。全住宅数の13.5%に上り、過去最高の割合です。

 大津町においては、まだ本格的な空き家調査は未実施ですが、私自身、広報誌の配布活動等の活動も通して毎度空き家の多さを実感しています。これらの空き家は維持管理を行っていれば問題はないのですが、放置期間が長引くと倒壊したり、不審者侵入や放火、不法投棄の危険性が増すなど周囲に悪影響を及ぼす恐れが出てきます。

 さて、その増え続ける空き家への対策として、既に新聞やニュース等でもかなり取り上げられていますが、2月末より「空家等対策の推進に関する特別措置法案(略称:空き家対策特別措置法)」が施行されています。

 ニュースにおいては、「更地の6分の1だった固定資産税の税率が更地と同様になり、空き家を持つ人は従来の6倍の税負担を背負わされる可能性がある」という部分がクローズアップされていますが、これまでは空き家対策の進まない大きな理由の一つとして、「空き家を撤去すると固定資産税が増加してしまう」という制度上の背景があり、今回の特措法により空き家対策・利活用が大きく進む可能性も大いにあります。


■特措法の目的
 「空き家対策特別措置法」の狙いは大きく2つあります。

 一つが老朽化等で隣接地などに危険が及ぶ場合や景観や衛生、生活環境を損なっているなどの「問題のある空き家への対策」です。

 法律で問題のある空き家を「特定空き家(5月末を目途に認定)」と定義して、市町村が空き家への立入調査を行ったり、指導、勧告、命令、行政代執行の措置を取れるように定め、所有者が命令に従わない場合は過料の罰則を設けています。 また、これまでは対策をとろうにも登記があいまいで空き家の所有者が分からないという課題もあったのですが、固定資産税などの課税のための個人情報を必要な範囲において利用できるようにも定めています。


 もう1つの狙いは、「活用できる空き家の有効活用」です。

 今回の特措法では市町村に、空き家のデータベースを整備し、空き家や跡地の活用を促進することを求めています。 また、これらを推進するために国が基本方針に則って市町村が空き家に対する方策を立てる必要があります。また、空き家対策の実施に必要な費用についても、国と都道府県が市町村に補助をするなど財政上の措置も行うことが定められています。

(参考:長浜市 / 空家等対策の推進に関する特別措置法案の概要 →リンク


■空き家の定義
 国が示した指針では、空き家かどうかを判定する目安としては、「建物が1年間にわたって使われていないこと」となっており、空き家の基準としては、「建物への人の出入りや電気・ガス・水道の使用状況をふまえ、1年間を通じて使われていないこととされています。

 ただし、実際の運用を考えれば現場レベルでは「特定空き家」認定において、持ち主との折衝の点でかなりの難しさがあると思われ、町としてもしっかりと基準を策定して説明責任を果たしながら粘り強く対応していく必要が出てくる思います。


■市町村の果たすべき役割
 上述の立入調査、指導、勧告、命令、行政代執行に加え、国の指針では市町村に対し、(1)重点的あるいは先行的に推進すべき地区を決めて対策に当たる、(2)空き家を地域の集会所や訪問客との交流スペース、移住希望者の住居、農村宿泊体験施設などとして活用する方法を検討することなどを促しています。また、移住希望者とも連携し、売買や賃貸のニーズを掘り起こすことも重要としており、市町村は今後、指針に沿った対策計画を作る必要があります。

 また前述の通り、特に危険な「特定空き家」に対しては撤去や修繕を勧告したり、強制撤去したりできるとし、勧告を受けた特定空き家が建つ土地には固定資産税が最大6分の1に引き下げられる税制特例は適用されなくなります。

(参考:国土交通省:指針概要→リンク 指針本文→リンク


■国の役割
「市町村が行う空家等対策の円滑な実施のために、国及び地方公共団体による空家等に関する施策の実施に要する費用に対する補助、地方交付税制度の拡充、必要な税制上の措置等」となっており、具体的メニューとしては、以下が挙げられています

・空き家を改修した子育て用賃貸住宅の供給促進等、空き家活用・情報提供の充実、空き家の除却等を促進するための土地に係る固定資産税に関する必要な措置
・中古住宅、リフォーム市場活性化による住み替え促進若年層等が住宅を買ってリフォームする際や高齢者が住み替えのためのリバースモーゲージを活用する際の金融支援の充実等


(参考:国土交通省/まち・ひと・しごとの創生施策→リンク)。


■自治体の空き家対策検討事例
・横須賀市・・・住宅団地での空き家バンクの開設と市外から転入に対する購入・引っ越しなどの助成
・和歌山県・・・空き家の“掘り起こし”を進めようと、空き家内の家財道具の撤去費用として、1軒あたり10万円を助成する支援策を実施し、活用できる空き家数を増やし、より多くの移住者を迎え入れる方針

(参考:その他現行の先進事例→リンク


■民間(市場原理)の活用
 これまで述べてきた通り、この特措法の施行は所有者に売却や改築、賃貸など空き家の利活用を促す(→売却・賃貸に回すことで税負担を軽減できるという新たなメリットが発生する)と考えられ、地方においても空き家ビジネスの可能性が生まれる可能性は十分あります。 しかし、一方で相続の物納や放棄等が増えれば、対処する自治体の大きな負担増に繋がります。

 大津町の状況としては、人口が増加傾向にあり新築の一戸建てや集合住宅が建設されていますが、空き家は増加傾向にあります。 一方で、都心からの移住者をはじめとして中古の一戸建てを求める需要は一定程度あるものの「賃貸・販売物件としての空き家」はまだまだ少なく、そのために需給ギャップが生まれています。

 要因としては、「仏壇等の大事な(あるいは処分しにくい)ものを含めて私物の置き場となっている」「数年後に戻る予定であり一旦貸し出すと戻りたい時に戻れない」等がありますが、先進地の事例を見ると、自治体が不用品の処分や倉庫を用立てているケースもあり、また賃貸契約においては「定期借家」と言って契約段階で期限を設ける事も可能です。

 日本の場合、欧米と異なり中古住宅の価格評価や中古住宅の流通が確立されていない等、空き家ビジネスを本格的な事業として成り立たせるまでのハードルが高いのも現実です。

 しかし、人的にも財政的にも町が「空き家対策」にかかる事業全てを担うことは現実的には難しいと考えられ、一方民間だけに任せても中々進展しない課題でもあり、上述の先進事例に学びながら実践していくことはもちろん、今回の特措法の趣旨・内容を踏まえ、町内や近隣の事業者と協議・連携し、知恵を出し合い、市場原理に乗せていく事も必要ではないかと考えています。

| 言論・政策 | 10:39 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

| | 2016/04/09 17:19 | |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://kanadahideki.blog.fc2.com/tb.php/283-04470d89

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT