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大津町議会議員 金田ひできの『新風!』

熊本県大津町の議会議員、金田ひできのブログ 『新風(しんぷう)!』

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法定外税とパチンコ施設

 過去のブログ記事へのコメントとして、「大津町にパチンコ店は不要であり、事業を継続するのであれば町独自でパチンコ店への増税を行い、増税分を福祉政策へ充当できるように条例を定めるべき」という主旨のご提案を頂きました。
 個別に回答をさせていただいていますが、少し加筆修正した上で記事としても共有させていただきます。

【特定事業への上乗せ課税】
 まず、特定業種への上乗せ課税については、地方自治体に課税権があり、提案のように法定外税という形で国や県の税率に上乗せする、あるいは新規の税目を設けることが可能です。 

 実際に、山梨県富士河口湖町では「遊漁税」を独自に設けており、課税の根拠は、河口湖及びその周辺地域における環境の保全や施設の整備に充てるためとされています。
また、福岡県北九州市では「環境未来税」を設けており、課税の根拠は、現在及び将来の市民が快適な生活環境を享受できる都市づくりを目指して、環境に関する施策に要する費用に充てるためとされています。

 ただし、通常は上記事例の通り、法定外税は単に税収を増やすことが主目的ではなく、その産業や活動等によって生じ得る環境へのマイナス影響の減や、関連する施設の整備などのために用いられています。もう少し言えば、法定外税の導入には相当の理由を必要とするとともに特別な事情や明確な財政需要の説明も必須です。そして、それは事業者も含む住民の方々に説明し、一定レベル納得されるものでなければなりません。


【パチンコ施設の位置づけと法定外税の可否】
 ここでパチンコの位置づけとその課税根拠を考えます。パチンコ店には生産性がないため大津町には不要であるというご指摘ですが、パチンコは現行法上、ゲームセンターやボーリング・ビリヤード・ゴルフ場などと同様の娯楽施設であり、生産性というより庶民へ娯楽を提供するものです。したがって、ご指摘の通り、例えば製造業のような目に見える形での生産はなされませんが、娯楽を通して「庶民の息抜き・楽しみ」という付加価値を生み、その対価として利益を得ているため、生産性を根拠としての規制や課税は法的にも難しいという見解です(現在、国レベルで議論されているカジノとの比較に関してはここでは議論しません)。

 昨年度は当時の税調会長の野田議員より「(パチンコ税の創設構想について)地方自治体が自己調達する努力があてもいいのではないか」という主旨の発言があり、自治体の判断に委ねるべきと取れる見解を示していますが、様々な理由により未だ各自治体とも創設には踏み切ってはいません。

 パチンコ業界への法定外税の事例としては、随分前から東京都がパチンコ台の頻繁な台の入れ替えによる環境への影響を鑑み、新台に課税することによって廃棄台の排出抑制とリユ-ス台(中古台)の普及促進を図ろうという取組みをしていましたが、未だ実現には至っていません。

 また、こちらは課税ではなくパチンコの建設規制ですが、宝塚市が独自条例を設定したものの条例自体が違法であるとの判決により、2007年に約5億円の支払い命令が出たという判例もあり、そうした点も慎重姿勢の理由の一つであるかもしれません。

 以上の点も踏まえ、私個人の考えとしては、法定外税による更なる多額の課税は、仮に導入するとしても法を守っている一職種に対してその業種を潰すこと、あるいは単に追い出すことを目的とした導入は難しく、自治体としても相当の調査や準備と覚悟(訴訟になった場合の職員人件費、弁護士費用、賠償金リ スク等)が必要になり、後述の理由も含めて単に税収増のみが目的であれば、多大な負担に見合うだけの効果は得られないという見解です。


【パチンコ施設関連の税収】
 ちょうどデータが見つかったのでお隣の菊陽町の例で恐縮ですが、パチンコ業界からの税収についてご紹介させていただきます。菊陽町にはパチンコ店が4店あり、金額については、26年度の課税ベースで従業員の個人住民税約420万円、法人町民税約290万円と固定資産税約4,560万円を合わせて、 合計約5,270万円を課税しているようです。

 金額にもよりますが税制を引き上げたとすれば、既存のパチンコ店は町から撤退する、あるいはサービスの低下や出玉調整などによって利用者負担の増加として反映されることが想定され、結果として利用者は減少し、縮小・廃業となることが予測されます。

 そしてそうなれば、住民にとって雇用や娯楽施設の減少などの様々な影響があるとともに、現状町に入っているパチンコ業界関連の税収も減少することが予測されます。
全国的に同時に規制や増税がなされれば、町の税収増やお金が別の消費に回ることによる他業種の活性化も期待できますが、大津町からだけ施設がなくなっても現状の利用者 の多くは近隣市町村の施設に移動するだけです。 そうした理由からも、パチンコ税に関しては現在も政府与党でも検討されていますが、そちらの動きを注視したいと考えています。


【福祉の充実】
 パチンコ業界からの法人税は別にして、いずれにしてもこれから少子高齢化が進む中、ご指摘の通り高齢者福祉は取り組むべき大きな課題です。

 特に老人ホームや介護施設などは特別会計である介護保険特別会計で成り立っているため、現行制度上、多くは40歳以上が支払っている介護保険料(50%は保険料、残りは国25%、県12.5、市町村12.5%)から支出され、単純な施設の新設やサービスの充実はダイレクトに介護保険料の引き上げという形で住民に跳ね返ってきます。 したがって、制度を持続可能なものとするためには、一つには予防などによって出来るだけ長く健康でいてもらい、QOL(quality of life:生活の質)を保ちながら、同時に費用を抑えるようにするための施策が必要です。また、国が進めているように施設や生業としての福祉の担い手が不足する中、地域内での助け合いも不可欠になります。

 当然、一般財源部分についても、福祉・子育て・文化・農林商工業・防災などの多数の分野がある中で、限られた財源をどこにどの程度回していくかの配分の整理も必要です。また、既存事業の改廃や事務効率化などによって、人的・財的余力を創ることで、福祉の財源を確保する必要もあり、私自身これまで議場においても毎度指摘・提案しているところです。

 福祉は私も一議員として、そして文教厚生常任委員として様々な課題に取り組みながら力を入れている分野ですので、今後一般質問でも一層多く取り上げながら改善に取り組んでいきたいと考えています。

| 言論・政策 | 20:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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