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大津町議会議員 金田ひできの『新風!』

熊本県大津町の議会議員、金田ひできのブログ 『新風(しんぷう)!』

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自治体の目標設定と行動インセンティブ

 定量的な目に見える成果である"利益"を常に求められる民間企業と行政組織では、行動インセンティブの面で大きな差があると感じています。

 民間企業の場合には市場競争の中で、売り上げ向上のための品質やサービス向上、あるいは経費の削減に向けた絶えない改善を続けない限り、組織の存続が危うくなるため明確なインセンティブが働きます。

 一方で、行政組織は自ら設定しない限り、利益などの改善・向上させるべき「目に見える定量的な目標」が存在せず、また市場における競争原理も働かないため、自然体では中々改善が進んでいないというのが多くの自治体の現実であるように感じています。


【民間と行政における市場原理】

 企業において、自社が事業を行うビジネス環境を分析するためのプロセスに「3C分析」というものがあります。 これは、「市場・顧客: Customer」「競合: Competitor」「自社: Company」のそれぞれの頭文字をとったものでマーケティングの議論や分析において欠かすことのできない主体とされています。

3C分析フレームワーク

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 このフレームに当てはめると、民間組織の場合は、以下のようになります。

民間における3C事例
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


 一方で、行政組織の場合には、以下のような構造になります。

行政における3C事例
エエエエエエエエエエエエエエエ



 図表内の事象を端的に言えば、利益をあげなければ潰れてしまう民間企業と比較して『自治体のサービスは「必要があるから利用する」類のものが多く、さらに住民はサービスの種類や水準が気に入らないからと言って気軽に転出できないため自治体内でのインセンティブが働かず、自発的な改善が進みにくい』ということであり、だからこそ、「如何に適切な業務指標を自前で設定できるか」が非常に大きな意味を持ちます。

 一方で、見方を変えれば、民間企業では「取組みと成果の関係が分かりやすい」「否が応でもそうせざるを得ないというインセンティブがある」というだけの話で、行政においても「組織活動を通して、持続可能な形で住民満足度の向上を図っていく」という根本に据えるべき在り方は何ら変わりません。



【行政組織の自己改善作用を高めるには】

 民間企業においては、利益達成のための中長期目標を定めますが、前述の通り組織の存続にダイレクトに関わるため必死にその内容を突き詰めます。 同じように行政においても町の中長期における計画、指標などを定める『振興総合計画』『基本計画』を策定しますが、上述した背景などから多くの自治体において、重要性の認識が薄いと言えます。

 ただし、言ってしまえば、決裁権のある首長や幹部職員が重要性を認識して然るべき方向に舵を切り、適切な目標を設定しさえすれば手順自体は大して難しい話ではありません。

 しかしながら、自己改善に向けたインセンティブの働かない多くの自治体においては、この定量的な計画策定が依然として軽視されており、例えば「会議や集会の開催回数」などの本来手段であるべき指標が目標値として設定されるようなケースが往々にしてあります。 そして、こうなってしまうと『指標の達成=現状の改善』という公式が成り立たなくなり、目標自体が形骸化し、さらには職員も目標の達成に意義を見出せなくなり、モチベーションを保つことも難しくなります。

 また、現状の改善インセンティブが働かない組織では、定める目標値も「容易に達成できる」あるいは「何となく打倒に見える」水準に設定しがちです。

 一方で、明確なあるべき姿を描き、到達に向けた適切な指標を設定できている組織では、「その指標にどのような価値があるか」を理解した個々の職員が住民の生活向上にダイレクトに繋がるチャレンジングな指標と向き合い、「如何にして目標を達するか」を必死に考え、日々達成感と強い遣り甲斐を持って業務に臨みます。


【組織目標とPDCA】

 民間においてもマネジメントが徹底できておらずPDCAが機能しない組織は組織能力に合わせて、「できる目標」を設定しています。 一方で機能している組織は、市場(=ニーズ)に合わせて「なすべき目標」を設定しています。

 前者の場合は、現在の現場能力で達成できる目標ですから、計画(P)段階で工夫する動機が薄れ、実施(D)の内容は前例踏襲的なものになります。 さらに、たとえ前例踏襲でも「できる目標」は達成されることから、検証(C)は意義を失い、改善(A)も形式的になります。

 こうして「できる目標」を設定する行政組織は、目標を達成しながらも社会の変化から遠ざかり、住民満足度の向上も地方の創生も実現できません。

 しかしながら、計画・指標を『「できる目標」から努力を要する「なすべき目標」へ転換』することで、計画(P)は工夫の必要な意義あるものになり、組織とそこで働く人のモチベーションを刺激し、実施(D)でも、現場レベルでの様々な工夫が行われ目標の達成に結びつきます。 さらに確たる意味を持った指標(=実施結果)の達成に向けた検証(C)を適時に行うことで、改善(A)を通じた修正がなされ、目標の達成(=住民生活の向上)に繋がっていきます。


【実際の指標設定】

 指標の設定においては、まずは『住民ニーズ』の把握が前提になります。 住民起点の目標設定をすることで計画の価値を高め、意義のあるPDCAサイクルの展開が実現できます。

 技術的には、民間企業でも昔から活用されているマネジメントやマーケティングのプロセス、フレームワークを活用することで、より正確な住民ニーズの把握に基づく、「ズレや漏れ・重複のない」かつ「現実的かつチャレンジング」な目標を設定することが可能になります。

 大津町においては、町の10年計画である進行総合計画が2年間延長されたため、平成29年度から新たな8年計画が動き出す予定です。 これから2年間は結果の検証を行うとともに、新たな方向性や施策・指標の設定が進められます。

 今後の町の動向と発展の礎になる重大なものであり、折に触れて指摘・提言をさせていただいているものの、これまでの議会答弁などを顧みる限り、まだまだ軽視されていると感じています。

 この根幹の部分が変われば、町の取組みメニューや中身、そして各業務の進め方などの全体が大きく変化し、職員のモチベーションや充実感、達成感も一層向上していくように思います。 それほどこの目標設定は重要です。

 もちろん、こちらも何度となく提言していますが、人事評価制度の仕組みの中に「個人の適正な業績評価制度を導入」することにより、「個人と組織のインセンティブを合致」させていくことも大切です。

| 言論・政策 | 20:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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