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大津町議会議員 金田ひできの『新風!』

熊本県大津町の議会議員、金田ひできのブログ 『新風(しんぷう)!』

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り災証明書の調査判定は「重い方」、「2次」のいずれを優先すべきか

※6/16追記:当該内容に関して、「大津町においても”重い判定”を優先するように改める」との回答を頂きました。 判定が落ちることを危惧して一度は処理を進めた案件に関しても、2次調査の受付は可能とのことです。


 多くの方からご意見を賜っている標題の件について、ポイントを整理するとともに、私の考えおよび対応状況についてお伝えします。 長文となり分かりづらい部分もあるかもしれませんが、ポイントだけでもお読みいだければ幸いです。

【2次調査実施時の自治体間における対応の違い】
 既に窓口で説明を受けている方も多いと思いますが、6/9付け毎日新聞の報道にもある通り、大津町を含む5自治体は、り災証明書の調査判定において「2次調査を優先」するとしています。
 一方で、下図の通り、熊本市や益城町などの16自治体は、「重い判定を優先」しています。

判定は重い方を1
※100世帯以上の住家が被害を受けた熊本県内の23自治体を対象

 つまり、大津町の場合、1次調査で「大規模半壊」の判定を受けた世帯が、2次調査で「半壊」の判定に下がった場合には2次が優先となるため、被害度に紐づく支援金や義援金の額も低くなります。 一方で、例えば熊本市の場合には「重い判定」が優先されるため、2次調査で「半壊」となった場合にも、「大規模半壊」のままとなります。
 したがって、被災者目線でみれば、「重い判定」を優先する自治体の方がより寄り添った対応であると言えます。

 もちろん、「2次調査」を優先するとした自治体においても判断の理由はあるはずですが、私としては大津町も「重い判定」を優先すべきと考えています(詳細は後述)。 現時点で回答は頂いていませんが、週末に担当課に伺い、再度対応を見直すように私の考えを示すとともに相談・申し入れをしています。

 なお、これより以前、6月初旬の報道段階では大津町の対応は「未定」であったため議会事務局経由で状況を確認していたのですが、その際は「国が明確な指針を出していないため、自治体独自で「重い判定」を優先すると、差額を町が負担しなければならない可能性が拭えず、現時点では決められない」ということでした。 しかしながら、今回の報道では内閣府の防災担当者が「どちらの結果を優先するかは自治体の判断」としており、「重い判定」を優先したとしても、自治体の負担が大きく増える恐れはなくなったと言えます。


【被害認定の違いによる支給額の差】
 被災者の生活再建に向けては様々な支援制度がありますが、以下は特に支給額の大きい制度を利用して住宅を「補修」した場合における支給額のイメージです。

判定は重い方を2

 図表の通り、「2次調査を優先する自治体」においては、「半壊」の認定を受けた世帯がより高い被害認定となることを期待して2次調査を依頼した結果、一段低い「一部損壊」と認定された場合は、97.6万円分の助成を受ける権利を失うことになります。 しかし、仮に「大規模半壊」と認定された場合には、現状より170万円多い助成を受けることができます。

 結果として、この被災者は”金銭的支援がゼロになるリスクを取ってまで2次調査をするか”というジレンマに陥ります。 

 なお、このジレンマを抱えている方が最も多いのは「半壊」と認定された層であると考えられ、理由は、2次調査によって仮に「大規模半壊」と認定された場合は、97.6万円から267.6万円で170万円(274%)増という最も大きな上げ幅となるためです。

 一方で、「一部半損壊」の方は、現状維持でも下がった場合でも、その差は0万円となるため、納得がいかなければ当然に「2次調査」を依頼します。

 また、「大規模半壊」の方は「全壊」と認定されれば90万円増となりますが、仮に「半壊」に下がれば170万の権利を失うためリスクが大きく、2次調査を依頼しない方も多いようです。 実際に、私の知人も「金額あまり変わらないから」と2次調査は依頼しない意向でした。 しかし、これは”総額の差”や”比率”で考えているため、差分が小さいと錯覚しているだけで、0万円と90万円の比較で考えれば、被災者にとって決して小さい差ではありません(※)。
 
 もちろん何よりも、実際に被害認定が下がり減額となった場合のショックと落胆は想像を絶します。

 なお、実際の補修に掛かる費用の目安として、「一部損壊」程度の屋根の補修においても、補修額が100万円を超えるケースも珍しくなく、私の知る家屋でも認定は「半壊」であったものの補修の見積もりは500万円を超えていました。
※余談ですが、多くの方は『絶対的な価格差の数字(数値)』よりも『相対的な価格差の比率(比率・割合)』に囚われてしまう特徴があり、これを行動経済学等の分野においては『比率差原則』と呼んでいます


【「重い判定」、「2次」のいずれを優先するかで対応が分かれる背景と理由】

 対応が分かれるそもそもの原因はもちろん、国が「各自治体の判断に委ねる」としたためですが、それを踏まえて対応の相違理由を分析すると以下のことが考えられます。
※報道各社の自治体へのヒアリングによる記事も参考にしています

判定は重い方を3


【町として「重い判定」を優先するべき理由】
 上述した通り、私は「重い判定」を優先すべきだという立場です。

 理由としては、やはり上図①の通り、「「重い判定」を優先した方が被災者である町民にとって有利であり、住民視点のより寄り添った対応である」と考えているためです。

 上図②の理由は、最もらしくはありますが、国が「町の判断に委ねる」としている以上は、あえて自らの自治体に住み暮らす町民の不利になる選択をする必要性はありません。 また、倫理的に考えた場合も、そもそも1次(主に外観の目視調査)と2次(内部を含めた総合的な調査)の比較においては、「2次の方が厳密かつ詳細な調査」というよりは、「1次と2次では判定の仕方(基準)が異なる」と言った方が適切であるように思います。 そう考えれば、2つの異なる調査手法において、国が「被災者生活支援のためにより「重い判定」を優先しても良い」と示している以上は、「重い判定」を選択したとしてもモラルハザードには繋がりません。

 また、③については、確かに「2次調査」は多大な業務量を伴い、通常業務も平行し行っていかなければばならない局面において、担当する職員の方々の負担が甚大となることは十分理解できます。 しかしながら、やはりここは何よりも「被災者である住民にとって、どうすべきか」という視点で考えるべきだと思います。  被害認定度によって、住民の方々の受けることのできる金銭的な助成は数十万から百万円以上異なり、その如何によって生活再建の形やスピードは大きく変わってきます。

 人手を取られることによる全体的な「復興」の遅れを懸念する声もあるかもしれませんが、「被災者の暮らしの再建」があっての「復興」ではないでしょうか。 なお、個人的には「他の自治体がこうしているから」という理由は合理的な選択の根拠にならないという立場ですが、より大きな被害を受けた地域を含めて「重い判定」を優先するとしている自治体が多数あるということから、少なくとも「事務負荷面から見ても不可能ではない」ということは言えると思います。

 また、たとえ結果として被害認定は変わらなくとも、既に心労が積み重なった時期において新たな悩み(迷い)を抱えることは被災者にとって大きなストレスであり、思い悩んだ結果に「2次調査」を依頼しなかった方は長らく後悔に似た感情を抱き続けるかもしれません。
 そして、町がそうした”遺恨”や”不信感”に繋がりかねない選択をすることは、今後の復興に向けて町と住民が協働して取組む必要がある局面での大きな足枷にもなりかねません

 確かに職員の方々は、自らも被災者である中で未だに昼夜休日を問わずに、肉体的・精神的な疲れを十分に癒す間もなく、町の復興と被災者の暮らしの再建に取り組んでいます。
 しかしながら、住民はもちろん、行政側としても本当に厳しい状況であるからこそ、より一層住民に寄り添った対応をし、信頼を積み重ねる必要があると考えています。
 
 なお、余談ですが、結果として"町の判断"は「2次調査を優先」となってはいますが、個別にお話をすると被災者であることはもちろん日々窓口で住民の方とやり取りしている職員さんの多くも「重い判定」を優先するべきだと感じているように思います。 また、職員さんの中には、2次調査の作業負担(3人1組で約3時間を所要)を知っているだけに、申請をしかねている方も多いという実情も聞いています。

【最後に】
 最後に一部余談で、これは私の勝手な予想ですが、調査依頼件数を抑制するために「2次調査結果を優先する」と発信していたとしても、最終的には「重い判定」を優先した、り災証明を発行する自治体も出てくるのではないかと考えています。

 当該対応は一見結果オーライのようにも思えますが、これでは「仮に2次調査を受けていれば被害認定が上がったはずであるが、被害度が下がることを恐れて調査を依頼しなかった被災者」は結局救われず、顕在化はしないものの受ける権利を有していたはずの支援を受けられないことになります。 また、当該手法では結果は変わらなかったとしてもリスクを恐れて申請しなかった方々からの不満や不信感はなくなりません。

 したがって、課題もありますが、町としては「重い判定」を優先するように対応を改めるとともに、その変更内容をできる限り早期に住民の方々へ漏れなく周知すべきであると考えています。

| 言論・政策 | 17:28 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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