昨日は熊本市内の森都市プラザで開催された「向山熊本市長ローカルマニフェスト公開検証大会」に参加しました。
「ローカルマニフェスト」とは、政治理念、具体的な数値目標、達成期限、財源などが書き込まれ、検証可能な公約「マニフェスト」の地方選挙版と定義されます。
選挙期間中だけ
「抽象的」かつ
「イイトコドリ」の公約を並べ、当選後には何もやらない、あるいは大幅にトーンダウンするという構図は多くの有権者から批判の的にされるところです。
また、市民(Citizen)の政治意識の問題から
「言ったもの勝ち」になっている風潮も否めません。しかし、そのような
「言いっぱなし」の政治とならないように、出馬に当たってはしっかりと自分の約束を掲げ、それを第三者が検証していくと言う動きは、議会とは別のレベルでの、市民によるチェック機能を働かせるという点から非常に重要なことだと思います。
今回のローカルマニフェスト検証大会においては、コメンテーター、及び進行役からは市長に大して厳しい指摘もありましたが、質問や指摘に対しては、市長として出来る限り誠実に応えていたという印象です。こういった検証会への参加は首長としての義務ではありませんが、参加に後ろ向きな首長もいる中、例年協力的に臨む向山市長の政治姿勢は、当然と言えば当然ですが、やはり評価されるべきものであると思っています。

しかし残念ながら、月曜日の19時~21時という日時も影響していると思いますが、参加者は主催団体である青年会議所(JC)のメンバーを除けば、恐らく100名前後かそれ以下であり、約74万の人口を抱える熊本市からすると極小と言わざるを得ない状況でした。もちろん、参加者は少なくともこういった検証会の実施自体が、市政に対する大きなチェック機能を果たしていると言えますが、可能な限り
「分かりやすい進行・説明」よって政治をより身近なものにしていくという事は、政治家にとっても、運営団体にとっても大きな課題であると感じました。
また、もう一点、残念なことに今回の検証会においては、当該自治体の議員、および県内自治体の首長の姿があまり見受けられませんでした。
今回の検証会は、議会としてのチェック機能を果たすべき当該自治体の議員にとっても、改めて市政を見つめ、そして住民の幅広い声を聞き、それを今後の政策提案等に生かすための絶好の機会のはずです。また、各自治体の首長にも同様のことが言えます。人口・面積規模が異なっていても、待機児童、少子高齢化、雇用促進等々、各自治体が抱える課題には共通のものが多数あり、他の自治体の取り組みやその深度、そして住民からの声は大いに参考になるものです。
民間と行政の大きな違いとして、一つには相互の
「情報・ノウハウ交流」、あるいは好事例の
「模倣」が圧倒的にしやすいという点があると思っています。
民間企業の場合は、同業他者に対して競合の懸念から表層的な情報交換に留まるのが一般的です。しかし、自治体の場合には基本的には
「その土地に住んで生活する住民が対象」なので、大概の場合、取り組みの情報やノウハウの提供を躊躇せず、視察を申し込んだ際に二つ返事で引き受けてくれるケースも多くあります。もちろん、他の自治体での成功事例が地域の慣習や規模等も異なる別の自治体で必ずしも当てはまるとは限らないので、そこをしっかりと調査・分析し、上手くカスタムするのも首長、行政職員の腕の見せ所、センスの発揮しどころだと思います。
いずれにしても、現存するサービスや仕組みは基本的には過去のそれを昇華し続けてきたものに他ならず、そうであるならば、行政のトップである首長が積極的に乗り出すことで、住民サービスを向上させるヒントはいくらでもあります。それは新たなサービスの創出も然りです。
大事なのは行動を起こすための問題意識、課題認識、そして少しでも地域を良くしようと思う熱意と行動力、実行力でしょうか。
そういった点を踏まえ、私自身も、地域の住民の声に対してはもちろんですが、他の自治体の取り組みに対するアンテナも常に高くしておきたいと思っています。